• "老人専門病院"(/)
ツイート シェア
  1. 愛知県議会 2010-09-01
    平成22年9月定例会(第5号) 本文


    取得元: 愛知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-18
    愛知県議会 会議録の閲覧と検索 検索結果一覧に戻る 検索をやり直す ヘルプ (新しいウィンドウで開きます) 平成22年9月定例会(第5号) 本文 2010-09-30 文書・発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別窓表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言の単文・選択全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 75 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 :  ◯議長日高昇君) 選択 2 :  ◯議長日高昇君) 選択 3 :  ◯七十九番(小出典聖君) 選択 4 :  ◯産業労働部長木村聡君) 選択 5 :  ◯知事神田真秋君) 選択 6 :  ◯議長日高昇君) 選択 7 :  ◯十八番(安藤としき君) 選択 8 :  ◯建設部長川西寛君) 選択 9 :  ◯産業労働部長木村聡君) 選択 10 :  ◯知事神田真秋君) 選択 11 :  ◯十八番(安藤としき君) 選択 12 :  ◯三十八番(神戸洋美君) 選択 13 :  ◯議長日高昇君) 選択 14 :  ◯議長日高昇君) 選択 15 :  ◯副議長(奥村悠二君) 選択 16 :  ◯五十九番(鈴木愿君) 選択 17 :  ◯地域振興部長山田周司君) 選択 18 :  ◯建設部長川西寛君) 選択 19 :  ◯五十九番(鈴木愿君) 選択 20 :  ◯副議長(奥村悠二君) 選択 21 :  ◯五番(安藤まさひこ君) 選択 22 :  ◯建設部建築担当局長(金田健君) 選択 23 :  ◯警察本部長(河邉有二君) 選択 24 :  ◯産業労働部長木村聡君) 選択 25 :  ◯五番(安藤まさひこ君) 選択 26 :  ◯副議長(奥村悠二君) 選択 27 :  ◯六十二番(小島丈幸君) 選択 28 :  ◯産業労働部労政担当局長(志治孝利君) 選択 29 :  ◯教育長(今井秀明君) 選択 30 :  ◯県民生活部長(大久保裕司君) 選択 31 :  ◯健康福祉部健康担当局長(五十里明君) 選択 32 :  ◯知事神田真秋君) 選択 33 :  ◯三十七番(大見正君) 選択 34 :  ◯副議長(奥村悠二君) 選択 35 :  ◯副議長(奥村悠二君) 選択 36 :  ◯議長日高昇君) 選択 37 :  ◯百一番(筒井タカヤ君) 選択 38 :  ◯教育長(今井秀明君) 選択 39 :  ◯産業労働部労政担当局長(志治孝利君) 選択 40 :  ◯総務部人事担当局長(原田泰君) 選択 41 :  ◯県民生活部長(大久保裕司君) 選択 42 :  ◯警察本部長(河邉有二君) 選択 43 :  ◯知事神田真秋君) 選択 44 :  ◯百一番(筒井タカヤ君) 選択 45 :  ◯警察本部長(河邉有二君) 選択 46 :  ◯議長日高昇君) 選択 47 :  ◯議長日高昇君) 選択 48 :  ◯五十番(高木ひろし君) 選択 49 :  ◯健康福祉部長(野村道朗君) 選択 50 :  ◯地域振興部長山田周司君) 選択 51 :  ◯企業庁長(山川利治君) 選択 52 :  ◯知事神田真秋君) 選択 53 :  ◯五十番(高木ひろし君) 選択 54 :  ◯健康福祉部長(野村道朗君) 選択 55 :  ◯議長日高昇君) 選択 56 :  ◯三十八番(神戸洋美君) 選択 57 :  ◯議長日高昇君) 選択 58 :  ◯議長日高昇君) 選択 59 :  ◯三十七番(大見正君) 選択 60 :  ◯議長日高昇君) 選択 61 :  ◯議長日高昇君) 選択 62 :  ◯議長日高昇君) 選択 63 :  ◯議長日高昇君) 選択 64 :  ◯議長日高昇君) 選択 65 :  ◯議長日高昇君) 選択 66 :  ◯三十八番(神戸洋美君) 選択 67 :  ◯議長日高昇君) 選択 68 :  ◯議長日高昇君) 選択 69 :  ◯議長日高昇君) 選択 70 :  ◯議長日高昇君) 選択 71 :  ◯議長日高昇君) 選択 72 :  ◯議長日高昇君) 選択 73 :  ◯三十七番(大見正君) 選択 74 :  ◯議長日高昇君) 選択 75 :  ◯議長日高昇君) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1:     午前十時開議 ◯議長日高昇君) ただいまから会議を開きます。  直ちに議事日程に従い会議を進めます。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━   日程第一 一般質問並びに第九十九号議案平成二十二       年度愛知県一般会計補正予算から第百十四号       議案土地利用審査会の委員の選任についてま       で及び決算第一号平成二十一年度愛知県一般       会計歳入歳出決算から決算第十八号平成二十       一年度愛知県臨海用地造成事業会計決算まで 2: ◯議長日高昇君) 第九十九号議案平成二十二年度愛知県一般会計補正予算から第百十四号議案土地利用審査会の委員の選任についてまで及び決算第一号平成二十一年度愛知県一般会計歳入歳出決算から決算第十八号平成二十一年度愛知県臨海用地造成事業会計決算までを一括議題といたします。  これより一般質問並びに提出議案及び決算に対する質問を許します。  通告により質問を許可いたします。  小出典聖議員。     〔七十九番小出典聖君登壇〕(拍手) 3: ◯七十九番(小出典聖君) おはようございます。議長のお許しをいただいて、通告により質問をさせていただきます。  一般質問の機会に、先般派遣をされました欧州調査団の議場報告、これを団員の皆さんの御了解のもとに私からさせていただきます。そして、後ほど六つの調査事項から二つの調査先を参考に、知の拠点について幾つかの質問をいたします。  さて、北米調査団の熊田議員に続きまして、調査中に私も六十二歳の誕生日を迎えました。団員の皆さんからは、豪華なケーキを用意いただいて、そして、添乗員のお嬢さんからはネクタイのプレゼントをいただいて、六十二歳の誕生日をお祝いいただきました。ネクタイは、熊田議員同様にこれであります。  さあ、質問に参りますが、今回の調査日程は、八月二十九日日曜日から九月五日日曜の六泊八日、調査先は、フランス、スイス、イタリアの三カ国。調査項目は、一つ、知の拠点、先導的中核施設を念頭に、フランス・グルノーブルにあるミナテックイノベーションキャンパスで、最先端技術共同研究の拠点形成の調査。二つ、知の拠点、中部シンクロトロン光利用施設を念頭に、同じくグルノーブル、ミナテックに隣接する欧州シンクロトロン光利用施設で利用状況の調査。三番、三河湾油ケ淵を念頭に、スイス・ジュネーブ州、スイス管理局でレマン湖水質浄化の調査。四番、愛知県観光振興基本計画を念頭に、同じくジュネーブでジュネーブツーリズム・アンド・コンベンションビューローの国際会議誘致などの調査。五番、あいちトリエンナーレを念頭に、イタリアのミラノのトリエンナーレデザインミュージアムでの芸術振興の調査。六番、愛知県観光振興基本計画を念頭に、同じくミラノのミラノ市観光課で観光政策の調査であります。  以上の調査報告を駆け足でさせていただきます。
     米国調査団におくれることちょうど一週間、九月二十九日日曜、午前十時二十五分、予定どおり倉知団長、川上副団長、鬼頭副団長、浜崎副団長、そして、肩書のない平の大見団員、中村(男)団員、そして、私と随行員、合わせて一行八名が中部国際空港を出発。米国調査団がこの日、この後、中部空港帰着ということを聞きまして、送迎を一日で済ましてやろうという議会事務局長の陰謀があったのではないかと疑ったわけであります。  ヨーロッパの中継地フランクフルトまで所要時間十時間十分、ニコチン中毒患者の私は、長い禁断症状との闘いを経て、フランクフルト国際空港着。空港ビルの一角、本当に狭い申しわけ程度の金魚鉢で一服。ちなみに、その快楽を享受できたのは浜崎副団長と私の二人でありました。  フランクフルトで乗りかえて一時間十五分、リヨン空港着。リヨン市はフランス第二の都市でありますが、現地は夕方。そのままその日はホテルへ。  二日目、朝八時、バスでホテル発。一時間ほどでグルノーブル着。このまちの名は、私には、冬季オリンピックの開催地としてわずかに記憶に残っていたところでありますが、実は、第二次世界大戦直後にノーベル賞物理学賞のルイ・ネールという博士が、フランス原子力庁やフランス科学技術研究センターの研究施設をこの地につくったのが皮切りで、その後、大学研究機関、欧州レベルの国際研究機関などの集積が進み、現在では、名実ともにヨーロッパの科学技術革新の一大拠点となっているのであります。  午前中の調査先は、その一大拠点の中核を担うミナテックイノベーションキャンパス、日本語に直すと、ミナテックとは、マイクロ、ナノ、テクノロジーからの造語であろうかと。イノベーションは技術革新。キャンパスとは構内とか学園でありますから、マイクロ、ナノの研究から科学技術の革新をする学園とでも訳せるのではないかと考えております。  応対いただいたのは、フランス原子力庁の技術移転の責任者であり、ミナテックの理事長でもあるジャン・シャルル・ギベール氏と、ミナテックの新計画、GIANT計画に広報責任者として当たっておられるアドリン・ペルベス女史でありました。  ミナテックの成立は、フランス原子力庁グルノーブル研究所の発案でありまして、二〇〇二年設立、愛知万博の三年前であります。ただし、現施設は二〇〇六年オープン、過去十年間に投下された予算は十三億ユーロ。当時の一ユーロ百五十円で計算すると約二千億円であります。年間予算は三億五千万ユーロ、約五百二十五億円。  二十ヘクタールの敷地でありますから、五百メートル掛ける四百メートル。その内容の集積からすれば、決して広いとは言えない敷地の中に、三つの教育研修機関、四つの研究機関、二十の共同研究施設、産業連携育成の組織もあり、学生、教授一千四百人、研究者二千四百人、企業の研究者、技術者六百人、産業連携育成の職員百五十人が在籍し、狭いがゆえに関係者が常に隣接し顔を合わせ、時にはディスカッションし、アイデアを交換しながら研究できる環境であり、専門分野の垣根を越えて共同研究することで成果を上げている。  年間特許出願数三百件、年間論文発表数一千六百件、年間起業五件。ミナテックは、雇用面でも地域に大きな貢献をしている。直接雇用で一万五千人、そのほか間接雇用も入れると三万人の雇用が創出されている。  以上、ギベール理事長の説明の後、活発な質疑応答の中で、ミナテックの資本金は二百三十億円で、その出資の内訳は、地方自治体五〇%、フランス原子力庁二〇%、国一〇%、民間投資二〇%であること。ミナテックの施設管理及び将来的な事業立案は、フランス原子力庁が主体となっていること。年間予算約五百二十五億円の収入内訳は、企業その他からの受託研究収入、二つに、国、地方自治体からの受託研究収入、三つに、国からの助成金、それぞれ三分の一ずつであるということであります。  また、国、地方自治体からの受託研究については、競争入札で受託するものであること、支出の内訳は、投資二〇%、人件費四〇%、施設運営費四〇%であること。さらに、ミナテックの研究機関の中では、企業に最も近い研究所LETI。このLETIは、研究資金の獲得を目指しまして、昨年十月、東京で日本の企業を対象に五回目のLETI講演会を開いていること。年間三百の特許案件のうち、最近の日本への技術移転の例として、デンソーへエアバッグの加速度計測センサー、ソニーへプレイステーションの高速データ処理チップと挙げてくれました。  また、ギベール理事長に対して、トップランナーとして走り続ける秘訣を三つ挙げるとすればという質問がありまして、理事長は、ちゅうちょなく答えて、一つ、新たな技術開発への投資を継続すること。二つ、初期の設立趣旨を忘れない。研究のための研究ではなく、あくまでも雇用創出のための研究であることを忘れない。三つ、トップランナーではないとの自覚を持ち、常にトップを目指す気概を忘れないこと。以上、ミナテックのリーダーとして深い確信をお聞きし、団員一同、大いに感動したところであります。  引き続き同じ場所でもう一人の対応者、ペルベス女史から、ミナテックが目指すGIANT計画の説明を受けました。ちなみに、ペルベス女史は、ことし三月来県し、十一日に名城大学で開かれました科学技術交流財団、うちの財団であります、主催のグルノーブル・デーに、「GIANT計画 新グルノーブル・イノベーション・キャンパス 」との演題で講師をされたのであります。  その新計画の説明を受けたわけでありますが、持ち時間の都合で内容は割愛しますが、要するにミナテックの集積を新エネルギー・健康分野にも広げ、研究能力をほぼ二倍にしようとする計画であります。  ミナテックの現状だけでも、私ども調査団にとって大変な驚きでありましたのに、さらにGIANT計画。これから始まる愛知の知の拠点がどこまで追随できるのかとため息をついたところであります。  質疑を終え、食堂でミナテックのメンバーも加わり、歓談しながら昼食をともにした後、ペルベス女史の案内で、隣接する欧州シンクロトロン光利用施設を訪問。その会議室で、この施設の広報部長、クラース・ハクファスト氏をペルベス女史から紹介されたわけでありますが、我が庭を行くようなペルベス女史の様子から、ミナテックとこのシンクロトロン光利用施設の連携の深さをかいま見た気がしたのであります。  この施設は、フランス、ドイツ、イタリア、イギリスなど欧州十九カ国が参加する施設でありまして、一九八八年建設開始、一九九二年稼働、供用ビームライン三十一本、共同研究グループ用ビームライン十一本、電子エネルギー六ギガエレクトロンボルト、リング周長八百四十四メートル、設置可能ビームライン五十六本、年間予算約百八億円、ビームライン使用料等年間┼─逆に収入でありますが、極めて少ないんですが──二億二千万円。研究者三百三十八人、技術者、事務職二百五十七人、博士課程在籍者二十人、合計六百十五人。実験のために来訪する研究者数年間約七千人、千六百の論文となっているそうであります。実験申し込み件数は約二千件、採択件数は九百件、採択率四六%、日本の兵庫のSPring─8、北米調査団が訪問した米国イリノイ州アルゴンのシンクロトロン光利用施設とともに、世界三大シンクロトロン光施設とされているわけであります。  ハクファスト広報部長から以上の概要説明があり、質疑に移ったわけでありますが、私の一番印象に残ったのは、ハクファスト広報部長が、この施設は同じ欧州レベルの研究施設、欧州原子炉中性子ビーム研究所、欧州分子生物学研究所と隣接し、さらにミナテックとも隣接しているので、研究者が別な施設の研究者と出会って話し合って意見を交換している。研究者が話し合っていける文化なくしてはこちらの成功はなかったと語ったことであります。  この日はリヨンへ戻り、リヨン泊。  三日目、朝、バスでリヨンを出発。陸路、おおむねローヌ川に沿って二時間余、国境を越えてジュネーブ着。午後、ジュネーブ水質管理局を訪問。迎えてくれたのは、ジュネーブ州議会議員コスレー女史とジュネーブ水質管理局のシャルル・スタルダー氏、そして、一九六二年にスイス、フランスの締約により設立されたレマン湖水質保護国際委員会の広報担当アンヌ・プッシー女史。  コスレー議員は、冒頭、議員が子供のころ、レマン湖はとても汚くて、水泳はおろか近寄ることもはばかられたとの趣旨を話され、三十年たった今、泳ぐこともできるようになり、子供たちが楽しんでいる姿を見ることがとてもうれしいと言って退室され、プッシー女史、スタルダー氏からそれぞれ説明があり、レマン湖は氷河の解けた水でできた氷河湖であること、面積は五百八十平方キロ、最深部は何と三百九メートル。ちなみに、三河湾六百四平方キロ、平均水深九・二メートル、油ケ淵〇・六四平方キロ、平均水深三メートルであります。レマン湖の水の滞留期間は何と十一年。  レマン湖は、スイスとフランスにまたがっているから、浄化のためには両国の協力が必要で、この国際委員会ができたとのことであります。その対象区域は、スイスの三つの州とフランスの二県であり、レマン湖の水源の河川延長は五千キロ。関係する市町村は五百七十一、スイス側三百八十七、フランス側百八十四。流入をする汚水百二十万人分と説明があり、そして、レマン湖再生の成功物語を聞かせてもらったわけであります。  一九六〇年、七〇年代のレマン湖は、工場廃水、農場の化学肥料の流入、家庭排水の垂れ流し、そして、廃棄物の投げ捨てで、見た目の汚さだけではなく、湖の魚の大量死や汚臭を発生させるようになった。地域住民の対策を求める声も上がり、行政も立ち上がり、住民と行政の協働で、廃棄物の回収や水質検査を各地で実施。レマン湖とローヌ川を共有するフランス、スイス両国政府の大型投資の協力も得て、下水道と大規模汚水処理場の建設、あわせて工場の排出規制、燐系肥料の使用制限、燐系家庭洗剤の禁止など、長年の努力によって、九五%の無燐化をおおむね達成している。レマン湖からの取水も飲料水にできるようになった。漁業も復活した。水鳥も再び飛来し、遊覧船やヨットも湖面を走り、子供たちも水遊びができるようになった。しかしながら、湖底に残った積年にわたる堆積物の処理がそのままにされているわけであります。  現在、ジュネーブの飲料水は八〇%がこのレマン湖の水であります。二〇%が地下水ということであるそうです。団長が、愛知でもエビアンの水を飲んでいますよと言ったところ、スタルダー氏答えて、はい、レマン湖の水です。  四日目午前は、ジュネーブツーリズム・アンド・コンベンションビューローを訪問。この団体は、今から百二十年以上前に、ジュネーブの経済界の代表たちによって設立され、公認され、公的サービスの提供を民間で運営する機関。ジュネーブの観光振興のために、スイス国内外で誘致活動や市場調査をする。ジュネーブは、国際連盟が置かれたこともあり、国際連合欧州本部や国際赤十字を初め、多くの国際機関があり、国際会議、見本市が多く開催されているわけであります。  対応いただいたのは、ビューローの国際会議担当課責任者のアンジャ・ロエチャー女史。特に担当である国際会議の誘致活動を重点に話していただきましたが、誘致の要点は、常に国際会議開催地のローテーションを視野に、さまざまな国際会議の主要メンバーと日ごろから交流して誘致を図っているとのことであります。今は八年先の仕事にかかっているとの話でありました。  昼、ジュネーブを出て、フランス・モンブラン山ろくのまち、シャモニーへ。そこで昼食をとりまして、通常ならモンブラントンネルをくぐってイタリア入りするところでありますが、ロープウエーを乗り継いでフランス、イタリアの国境を越えさせていただきました。乗り継ぎ点のエギュー・デュ・ミディ山頂展望台、三千八百四十二メートルのところにあります。そこからモンブラン四千八百十メートルの息をのむような眺望を初め、フランス、スイス、イタリアにまたがるアルプスの山々を展望させていただきました。この国境越えは、何度となくこの地を訪れている団長の気配りでありました。その日は、イタリア側のふもとのまち、クールマイヨール泊。  五日は、ミラノへの移動日。  六日目午前は、ミラノ、トリエンナーレデザイン美術館の調査。一九二三年、ミラノの郊外モンツァというところで、二年に一回、世界の建築デザインを一堂に集め、その趨勢を知ることにより、この地域から生み出される建築デザインが世界の流行からおくれないようにすることから始まったということであります。一九二九年からトリエンナーレとなり、一九三三年から会場がミラノへ移り、デザイン、ファッション、建築、メディアアートなど、産業と芸術との関係をメーンテーマとして、二〇〇二年まで計二十回にわたり開催された。一九九九年にトリエンナーレ基金が設立をされ、二〇〇二年以降はトリエンナーレ形式を中止した。その上で、二〇〇七年に現在のトリエンナーレデザイン美術館を建設し、以降、年ごとにテーマを決めた上で、年間常設展と企画展を実施しているとのことであります。  昨年、欧州調査団のベネチア・ビエンナーレやあいちトリエンナーレが現代美術とするならば、重なる部分がなしとはしませんが、ミラノは産業デザインとの印象でありました。  また、館内を案内してくれた学芸員、チエザさんの言葉、あるデザインが流行になったとき、そのデザインは既に終わっている。先端を行くデザインは普通の人には理解されない。普通の人は、後になってみてから身近なさまざまな品物の造形の中にそのデザインを見ることになるとの解説が印象的でありました。デザインを現代芸術と言いかえると、昨年、この議会でベネチア・ビエンナーレを調査した筒井議員の質問に答えた知事答弁をほうふつとするのであります。  質問に移ります。  知の拠点、先導的中核施設について伺います。  ミナテックの設立の前、ミナテックの現在の敷地には、研究機関や大学の集積が既にあったわけであります。ゆえに、ミナテックの場合は、当初から研究者や技術者が集中し、常に隣接し、お互い顔を合わせ、特にディスカッションし、アイデアを交換しながら研究できる環境があり、専門分野の垣根を越えて共同研究ができることで成果を上げてきた。先導的中核施設の場合は、何もないところからの出発であります。先導的中核施設への頭脳の集積はどのように進めていくのか伺います。  二つ目、先導的中核施設は、県が整備し、県が運営するとしております。ミナテックの場合、年間運営費の三分の二の受託研究収入があり、残る三分の一は国からの助成金でありました。先導的中核施設の運営はこれからであり、ミナテックのようにいかないのは当然でありますが、将来をどのように展望して、どのように運営していくのか伺います。  次に、シンクロトロン光利用施設について伺います。  世界三大シンクロトロン光利用施設と比べて、中部シンクロトロン光利用施設は小型であります。小型でありますが、この地域の企業の産業利用に直結するより使い勝手のいいものにする必要があります。  そこで、この施設が地域の企業の産業利用に直結する施設であるためにどのように運営していくのか伺います。  二つ、この施設がこの地域の企業のさまざまな課題解決の強力な道具として極めて有効な手段であるということを広く認識してもらう必要があります。そこで、供用開始を控えて、今までどのような取り組みを行ってきたのか、これからしていくのか伺います。  最後に、知の拠点について伺います。  知の拠点は、シンクロトロン光を初めとした高度な計測分析機器をそろえたこの地域の産学行政の共同研究の拠点であります。私は、この地域の産業の振興に大きな役割を果たしてくれるものと期待もし、信じてもおります。知事は、知の拠点の活用を通じて、本県の産業経済をどのように達成していこうとお考えになっているのか、所見をお尋ねして終わります。(拍手) 4: ◯産業労働部長木村聡君) 知の拠点に関し、何点か御質問をいただきましたので、順次お答え申し上げます。  まず、知の拠点の先導的中核施設への頭脳の集積についてであります。  知の拠点の先導的中核施設におきましては、この地域でイノベーションを創出するために、重点研究プロジェクトとして、産学行政連携による共同研究を推進してまいります。この重点研究プロジェクトには、地域の大学や企業の研究者、技術者の積極的な参加を募りましたところ、これまでにさまざまな研究分野から合計百三十一名の研究者と五十一社の企業の参加を得ることができたところであります。  今後とも、プロジェクトを管理いたします科学技術交流財団の有するさまざまなネットワークを活用することによりまして、県内外から高度な知見を有する頭脳の一層の集積を図りまして、そして、多角的な視点から困難な研究課題を解決しながら、重点研究プロジェクトの成果につなげてまいりたいと考えております。  次に、先導的中核施設の運営についてであります。  先導的中核施設は、本県が直接運営する研究開発施設でありまして、重点研究プロジェクトを初めとする諸事業を的確に推進いたしますため、県が必要となる経費を負担することとしております。  一方、将来にわたって先導的中核施設を安定的に運営いたしますためには、産業界や大学関係者にもこの施設を御利用いただき、それらの関係者の利用を通じて運営を補っていくという視点も重要であると考えております。  このため、施設のPRをしっかりと行い、中小企業を含む県内の企業に積極的に御活躍いただくことによりまして、依頼試験の手数料を確保いたしますほか、研究プロジェクトに国の競争的資金を獲得することでありますとか、あるいは研究成果を権利化した知的財産の実施許諾料を活用することなども含めまして、幅広く検討してまいりたいと考えております。  いずれにいたしましても、先導的中核施設は、産学行政が連携して取り組む研究プロジェクトを実施する施設でありますので、関係者の御理解と御協力を得まして、全体として適切な運営を行えるよう努力してまいりたいと考えております。  次に、中部シンクロトロン光利用施設の運用についてであります。  この施設は、御指摘のありましたSPring─8などのように、規模としては必ずしも大きな施設ではございませんが、専ら産業利用を想定するというコンセプトのもとで、設備機器の選定段階から産業界のニーズを踏まえ、地域の産業界や大学等の関係者を交えて検討した上で、採用する設備機器の種類や仕様を決定してまいりました。  また、運用面におきましても、他地域の同種の施設における問題事例を参考にしながら、大学の研究者等を常駐させ、技術相談や計測分析サービスを行いますなど、初めて利用する企業の方々にも安心してお使いいただけるような支援体制を構築することといたしております。  今後とも、中小企業を含む県内企業の御意見を伺いながら、産業界にとって使い勝手のよい施設づくりに取り組んでまいりたいと考えております。  次に、シンクロトロン光利用施設のPRについてであります。  施設の供用開始当初から最先端の計測分析を行うことができるシンクロトロン光利用施設を多くの企業の方々に御利用していただくためには、積極的な普及広報の取り組みが大変重要であると考えております。  まず、これまでシンクロトロン光そのものになじみの薄かった企業に対しましては、シンクロトロン光とは何か、どのような研究開発に使えるのかといった基礎的なことを御理解いただきまして、まずは施設に関心を持っていただくことが重要であると考えております。  このため、県といたしましては、地域の大学や科学技術交流財団の協力をいただきながら、わかりやすい説明会の開催や展示会への出展を通じまして、さまざまなPRを行っているところでありまして、引き続きしっかり取り組んでいきたいと考えております。  一方、既に他地域の同種の施設を利用された経験がある方、ないしはこれから実際にシンクロトロン光の利用を検討する企業に対しましては、分析手法ごとの研究会を開催いたしまして、計測分析の事例紹介を行いながら、企業が抱える技術課題の解決法に関し、御理解を深めていただくほか、御指摘のありましたSPring─8の御協力も得まして、研究者、技術者が計測分析の実地検証を行う機会も確保しているところでございます。  本県といたしましては、これまでシンクロトロン光を使ったことのない方から既に他地域の施設を利用された方まで、幅広い企業の方々にシンクロトロン光利用施設を御活用いただけるよう、平成二十四年度の供用開始に向け、引き続ききめ細かいPR活動に取り組んでまいりたいと考えております。  私からは以上でございます。 5: ◯知事神田真秋君) まず、県議会における欧州調査、大変御苦労さまでございました。御報告を今聞かせていただき、ありがとうございました。  さて、知の拠点による本県経済の活性化という点について、私からお答えを申し上げたいと思います。  本県は、およそ二十年の長きにわたり、いや、もう二十年以上になると思いますけれども、物づくりの中心とするこの地域のさらなる発展のために、科学技術を活用した研究開発の拠点を整備するという構想を温めてまいりまして、その実現に取り組んできたところでございます。  この間、バブルの崩壊など経済が低迷する時期などもございまして、本県のプロジェクトは多くが凍結をいたしましたり、あるいは見直しを余儀なくされるというような状況に逢着をいたしました。  しかし、この知の拠点、当時はこの名前はついておりませんでしたけれども、こうしたプロジェクトは、地域の企業関係者あるいは大学関係者から一貫して熱い期待が寄せられ続けてまいりました。私どもといたしましては、そういう関係者の早期実現を求める強い要請を真摯に受けとめまして、着実に整備を進めることにしたところでございます。  近年、経済のグローバル化に伴う競争の激化、あるいは円高基調などを背景といたしまして、物づくりの生産拠点が海外に移転する事例が見られますが、研究開発に裏づけられました付加価値の高い物づくりこそが、ぜひともこの地域で行われていかなければならないと考えているところでございます。  知の拠点は、本県が世界に誇る物づくり技術を生かし、画期的なイノベーションを創出することによりまして、中小企業を含む本県企業の技術の高度化、あるいは新産業の育成を図るという大変重要な使命を担うものでございます。  本県は、このプロジェクトを今後ともさらに充実するために、先般、国の特区制度に関連をいたしまして、仮称でございますけれども、ナノテクノロジー国際研究拠点特区として、研究開発あるいは施設整備に対する支援、民間研究機関の立地促進のための税制措置、また、海外から来訪する研究者の滞在期間の特例措置等を提案したところでございます。  私といたしましては、こうした特区として実現する施策も今後十分活用しながら、知の拠点の整備、運営を着実に推進することによって、この地域における付加価値の高い物づくり企業の集積を維持拡充し、また、それを支える広範な中小企業とともに多くの雇用機会を創出し、それらの活力を本県経済の持続的な成長につなげてまいりたいと考えているところでございます。  この知の拠点もマイルストーン事業として位置づけ、起工式も終わり、重点プロジェクトも着実に今進行しつつあるところでございます。何としてでも成功させて、この地域のさらなる発展、飛躍につなげてまいりたいと、そのように考えておりますので、引き続きの御指導やら応援をお願い申し上げたいと存じます。 6: ◯議長日高昇君) 進行いたします。  安藤としき議員。     〔十八番安藤としき君登壇〕(拍手) 7: ◯十八番(安藤としき君) 通告に従いまして、河川の治水対策、航空宇宙関連産業政策の二項目について、順次質問をさせていただきます。  初めに、河川の治水対策についてお伺いをいたします。  平成十二年九月十一日から十二日にかけ、東海地方を中心に記録的な豪雨と甚大な被害をもたらせた東海豪雨から十年がたちます。愛知県では、死亡者七名、負傷者百七名、床上浸水二万七千六百六棟、伊勢湾台風以来の被害が発生しました。私の地元においても甚大な被害となり、一級河川新川は、河口から十六キロ上流地点の左岸堤防が百メートルにわたり破堤しました。このため、洪水流は西区の西南部、下流側の清須市旧西枇杷島町とほぼ全域が浸水し、水流は西区の西南部ほぼ全域が浸水し、最大で二メートルから二・二メートルの深さに達した地域もありました。  また、新川の右岸では、堤防の破堤はなかったものの、ポンプの排水能力を上回る洪水の流出により、新川の一次支川の五条川や低地の中央を流れる水場川、鴨田川などでは内水はんらん等により、旧新川町、旧清洲町、北名古屋市の旧西春町、旧師勝町、豊山町の一部地域と広範囲に浸水が発生しました。  この水害により、はんらん面積は十九平方キロにも及び、約二万九千人の住民の方々が避難を強いられたほか、一万八千戸を超える住家が被災、事業所の浸水被害を加えると約六千七百億円にも及ぶ甚大な被害を受けました。  このため、新川は、河川激甚災害対策特別緊急事業、いわゆる激特事業の採択を受け、堤防の強化や河床掘削、橋梁の改修と補強、内水河川ポンプの増強、遊休地の整備などの河川改修事業が平成十七年度に完了し、そして、都市化の進展が著しい新川流域では、特定都市河川浸水被害対策法に基づく特定都市河川及び特定都市河川流域の指定を受け、平成十八年一月一日から適用し、同法第四条に基づき新川流域水害対策計画が策定され、より確実な総合治水対策事業が進められています。  新川の支川の一つである五条川の改修では、新川合流点から巾下川合流点までの十四・二キロを施行場所に、中流の春日橋や上流の待合橋では、目標流量を計画高水位以下で安全に流下させるための築堤、河道掘削、河道拡幅等の改修が平成十九年からおおむね三十年後の平成四十九年度をめどに進められており、平成二十四年度には、新川合流点から上流へ二・六キロの巡礼橋までが改修されるとともに、この区間内の名鉄津島線五条川橋梁の改築も現在進められています。  しかし、あの甚大な浸水被害が発生した東海豪雨から十年、五条川の改修は全体の二割にも達しておらず、改修の進捗が遅いではないかと思います。今日、都市化はさらに進む一方で、治水対策による河川改修目標がおおむね五年に一度の時間雨量五十ミリ対応とされています。しかし、最近の異常気象は、皆さんもお気づきのように、想定を超える集中豪雨や、いわゆるゲリラ豪雨は年々増加している状況にあります。まだ記憶に新しい平成二十年の岡崎豪雨では、時間雨量百四十七ミリを記録する猛烈な豪雨でした。  気象庁によると、全国で一時間に八十ミリ以上の猛烈な雨が降った回数は、昭和五十五年からの十年間では年平均十一・九回であったのが、平成十二年から昨年までの十年間には十五・六回に増加しており、時間雨量五十ミリ以上の回数も一・三倍に増加しているとのことです。  このような増加現象は愛知県においても同様に、一時間に五十ミリを超える雨量を観測した地点が、昭和五十五年からの十年間では二十一カ所に対して、平成十二年から昨年までの十年間では四十四カ所と実に二倍以上に増加しています。しかも、一時間雨量が七十ミリ以上の箇所は三カ所から一四カ所と、実に五倍近くに増加しているとの報道機関の調査もあり、豪雨による浸水被害の危険性は増しています。  東海豪雨により被災された方々にとっては、もう十年ではなく、まだ十年ではないのでしょうか。県民の安全・安心を掲げる愛知県として、新川の支川である五条川、水場川、鴨田川、中江川、新中江川など、豪雨による浸水被害の危険性が増している現在、治水対策における河川改修のスピードを加速すべきと考えます。お考えをお伺いいたします。  次に、治水対策における河川の一体的な改修についてお伺いします。  五条川の河川改修区域内には、下流から法界門堰、中流の清須市旧春日町に下之郷堰と二カ所の堰が設けられています。  さきにも申し上げましたが、法界門堰のある箇所は平成二十四年度には河川改修が完了し、法界門堰は撤去されて流下能力の向上が図られます。そして、順次、河床掘削等の河川改修が上流部に向けて行われるわけですが、これまでの進捗状況では、下之郷堰のある箇所には十年単位の改修期間が想定されます。  しかし、下之郷堰からの上流部は常に満水に近い水位となっており、一たび豪雨となれば、堤防越水の危険性をはらんでいます。新川の河川改修も完了し、五条川も下流域から河川改修が進められ、流下能力は格段に向上している状況において、上流域の危険性を少しでも回避するため、下流から順次改修ばかりでなく、下之郷堰の撤去や改築など、浸水危険区域を少しでも減らす一体的な治水対策、河川改修が必要と考えます。お考えをお伺いいたします。  また、激特事業により整備された庄内川においても、洗堰から約二キロ下流は川幅が狭い上、県道名古屋祖父江線の枇杷島橋やJR東海道線、新幹線の三橋梁が低いため、水をかぶってしまう特定構造物があります。  この中でも、県道の枇杷島橋は一番低く、また、JR橋梁の下は堤防道路がアンダーパスになっており、まさに第二の洗堰のようです。  地元清須市からは、JR新幹線、在来線及び県道の三橋梁部分の堤防及び橋梁のかさ上げを行う庄内川特定構造物改築事業の早期完成が何年にもわたり要望されています。異常気象で豪雨が頻発する中、一たび堤防が破堤すれば、清須市を含めたこの地域は、東海豪雨以上の浸水被害が想定されます。特定構造物の危険性が指摘され、改築要望がされている状況において、想定以上の豪雨のため堤防が破堤したでは済まされないと思います。お考えをお伺いいたします。  河川の治水対策の最後に、内水面の総合治水対策についてお伺いをいたします。  新川流域では、特定都市河川浸水対策法に基づき、総合的な浸水被害対策に、公園や広場、学校の運動場などを雨水貯留施設や浸透施設にする整備が進められています。しかし、財政的な問題もあり、充足している状況にはありません。  一方、新川流域では下水道事業が進められており、北名古屋市、豊山町では、平成二十年三月から供用が開始され、ことし四月現在の下水道普及率は二六・八%となっています。また、清須市を処理区とする新川西部流域下水道は、現在、供用開始に向け、浄化センターや管渠の工事が進められています。  下水道の普及とともに不用になった家庭の浄化槽を雨水処理施設へ転用することで、豪雨時に河川への流出を抑制することができます。浄化槽の平均的な七人槽では、約千リットルから三千リットルの雨水をためることができ、新川流域で今後十年間に下水道へ接続する家庭の浄化槽を雨水貯留施設へ転用すれば、約五万立方メートルから十五万立方メートル、つまり、通常の学校のプール百二十五杯から三百七十五杯分もの雨水を貯留することができ、河川への急激な流出を抑制できます。そして、自宅の庭の散水など、水資源の有効活用にもなります。  しかし、下水道への切りかえが進みつつある中、浄化槽の雨水処理施設への転用には、平均的な工事で約二十五万円が必要であり、国庫補助や市町の単独補助制度を活用しても、自己負担額が工事費の半額から三分の二ほど必要になるため、なかなか普及していません。  河川への急激な流出を抑制し、総合治水対策を推進するには、市町の雨水貯留施設整備とあわせ、各家庭の浄化槽の雨水貯留施設転用を普及促進することが必要であり、そのための具体的な支援が求められています。県の普及促進策と支援策についてお考えをお伺いいたします。  次に、二項目めの航空宇宙関連産業の集積、活性化政策についてお伺いをいたします。  神田知事は、所信や議会、また、さまざまな会見において、愛知県における航空宇宙産業の潜在的ポテンシャルを取り上げ、さらなる航空宇宙産業の振興を語られておられます。事実、愛知、岐阜、三重の当地域の航空機、部品の生産は全国の約五〇%を占めており、特に航空機本体の生産は全国の約七〇%と、日本の航空宇宙産業を担っている地域と言っても過言ではありません。そして、愛知県には、この産業を支える素材メーカーから成型、加工、機体製造など、その中核として長い歴史と技術に裏づけされた製造拠点が集積されています。
     今月十日には、名古屋のテレピアホールで、JAXAシンポジウム二〇一〇in名古屋が開かれ、私も御案内をいただき、参加をしてきました。このシンポジウムは、これまで毎年東京で開催されていましたが、今回初めて名古屋で開催されたものです。シンポジウムの冒頭にあいさつされた宇宙航空研究開発機構(JAXA)の立川理事長は、日本の航空宇宙産業を担い、その産業が集積しているこの当地でぜひシンポジウムを開催したいと考えていました。実現することができてとても喜んでいますと開催に至った経過、思いを話されておられました。  愛知における航空宇宙産業のポテンシャル、潜在能力の高さはだれもが認めるところであり、事実、ボーイング787型機を初めとする航空機の構造材製造や機体製造、航空機関連部品、エンジン部品等の製造のほか、H─2A、H─2Bロケット、エンジンの製造や国際宇宙ステーションに取りつけられた日本実験棟きぼうの製作など、宇宙関連企業も航空宇宙関連企業とともに集積しており、国産旅客機MRJの開発製造拠点でもあります。  県では、航空宇宙産業クラスター、集積の形成を目指して、愛知県航空宇宙産業振興ビジョンを平成二十一年三月に策定し、航空宇宙産業の現状と市場などの動向から課題を見つけ、振興策の方向性を示しています。  ビジョンの中で、県が課題として挙げられている研究開発のインフラ整備については、県営名古屋空港隣接地にJAXAが行う航空機研究開発施設の建設が現在進められていますが、では、他の課題とされている継続的、連続的な航空機開発サイクル及び販売体制の確立や認証の取得など、中小企業の新規参入、機体メーカーと外注先での部品往復に対する効率的な部品供給体制の構築など、どこへ、どのように、どのような方法でという具体的な方向性、計画があいまいではないかと危惧されてなりません。  と申しますのも、先日、私は、MRJの製造に関係する企業の方とお話しする機会がありました。MRJの機体製造には、最低五百機を製造しなければ採算がとれないそうです。そして、このクラスの機体の将来需要から、千機以上の販売を世界じゅうに展開したいと話されていました。  以前、MRJについて、議長講演会の際も同様のことが話されていたと記憶しています。そして、当面は、現在受注されている百二十五機の製造に向け、県営名古屋空港に隣接の三菱重工小牧南工場で、月産二機の製造ライン計画が予定されているとのことです。  しかし、現在受注されている機体製造でも五年以上の期間が必要であり、採算ベースの五百機を製造するには約二十一年の期間が必要となることから、現状の工場敷地では限界があり、他の場所での機体製造も考えられるとのことでした。事実、MRJの開発が発表された以降、二年ほど前から我が県、我が空港で機体の製造をと一種空港以外のほとんどのところから知事のトップセールスなど、誘致のプレゼンが行われているそうです。このまま何もしなければ、愛知県から他県へ航空機製造産業が分散されてしまうことになります。  航空宇宙産業の集積には、愛知県航空宇宙産業振興ビジョンに紹介されている海外の集積地であるアメリカのシアトル、フランスのトゥールーズを愛知県は目指すべきです。  私は、以前、これからの愛知の航空宇宙産業における県営名古屋空港の位置づけについて議会でお伺いした際、県営名古屋空港は、周辺地域も含めて大きな核であるとの考えを示されました。今日、愛知の航空宇宙産業の大きな中心に、国産旅客機MRJの開発、製造があると思います。研究開発の拠点とともに、製造、販売へと結びつける企業集積、拠点集積について、県営名古屋空港とその周辺地域を一体的に開発し集積を図る、まさにスピード感ある施策の展開がすぐにでも必要ではないのでしょうか。県のお考えをお伺いいたします。  次に、航空宇宙産業集積に向けたインセンティブ、誘因策についてお伺いいたします。  さきの愛知県航空宇宙産業振興ビジョンでは、現状と動向を分析し、継続的、連続的な航空機開発サイクル及び販売体制の確立、認証の取得など、中小企業の新規参入が産業集積の課題とされています。単に基盤整備を行い、いわゆる企業団地の立地整備を行っただけでは企業誘致や集積は難しいのではないのでしょうか。企業が進出意欲を刺激される要因、つまり、次世代の航空機の開発や新規企業が認証に必要な研究開発に取り組める施設が必要です。  オランダのマルクネッセには、ヨーロッパ最大級の風洞試験施設があり、エアバスの本社があるフランスのトゥールーズには、直径八メートルの風洞施設から、マッハ二十のスピードさえ再現できる超音速風洞施設などがあり、世界各地のメーカーから試験依頼を受けています。  このような大規模風洞施設では、より実物に近い模型でテストができることから、精度の高い航空機部品の開発が行えるそうです。航空機産業においては、燃費向上を目的とした機体軽量化のために、炭素繊維複合材を初めとする新素材の導入が進んでいます。航空宇宙産業の集積には、JAXAとともに大規模な研究開発基盤の整備強化により、企業が進出意欲を刺激される誘因策が必要と考えます。お考えをお伺いいたします。  最後に、今後の航空宇宙産業を支える製造・開発人材の育成についてお伺いをいたします。  愛知の航空宇宙産業の需要拡大とさらなる発展に向け、これに対応できる製造、開発人材の育成、確保は必要不可欠であり、さきの振興ビジョンにおいても、専門的教育機関の必要性、人材育成などを今後の課題に挙げています。  県では、昨年度、刈谷市にある愛知県産業技術研究所において、航空機部品の高度な加工に対応できる技術者を育成するため、三次元CADによる設計や五軸加工、検査の実習など、延べ四十五名が受講された技術者育成研修が行われました。  また、平成二十七年度に開講が予定されている総合技術高等学校(仮称)では、三年間の本科に二年間の専攻科を設け、自動生産や機械では代替できない千分の一ミリを仕上げるスーパー技術者、技能者の育成を目指しています。  先端技術システム科では、自動車・航空機産業コースが設けられ、自動車、航空産業における材料、構造、電気、電子などの要素技術者、CAD技術者、部品加工など幅広い分野に対応できる技術、技能が習得できます。  このような技術・技能人材をこれからの愛知の航空宇宙産業人材としてどのように確保していくのかお伺いをいたします。  以上、河川の治水対策と航空宇宙関連産業の集積、活性化政策の二項目についてお伺いをいたしました。本日は、東海豪雨で被災に遭われた地域の方々や、県営名古屋空港の周辺にお住まいの方々が大勢傍聴にお見えになっておられます。将来に向け、本当に安全・安心な愛知となり、そして、将来に夢のある愛知として産業の育成が図られる政策の展開が今まさに求められています。県当局の明快な御答弁を求めまして、壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 8: ◯建設部長川西寛君) 河川の治水対策のうち、五条川など河川改修のスピード加速について、まずお答えを申し上げます。  河川激甚災害対策特別緊急事業、いわゆる激特事業の完了によりまして、大幅に新川の流下能力が増加しました結果、五条川などの支川の抜本的な改修が可能となりまして、現在、県におきまして、五条川など九河川の改修を進めているところでございます。しかし、これらの河川には、橋梁や取水堰などの横断構造物が多くありますことから、河道を改修する上で多額の費用と長い期間がかかっております。  このため、県では、東海豪雨後、河川改修予算の約四分の一を新川の激特事業や支川の整備に重点的に投入をいたしまして、早期の効果発現に努めているところでございます。  また、例えば河川改修と市の雨水幹線を一体的に整備するなど、他事業との連携や改修順序の弾力的な運用など、早期に効果を発現させるため、効率的な事業執行にも努めているところでございます。  今後とも、国の予算の確保に加えまして、効率的な河川改修の実施に最大限努めてまいりたいと考えております。  次に、治水対策における河川の一体的な改修についてお答えを申し上げます。  河川改修におきましては、先に上流の流下能力を向上させてしまうことによって、下流地域での被害が拡大することのないよう、下流側から改修していくことを基本としております。  しかしながら、上流側で流下能力が著しく阻害されている場合などでは、下流地域への影響を最小限にとどめつつ、その阻害箇所を個別に改修することは、沿線の被害軽減に有効な対策ではないかと考えております。  このため、五条川につきましても、改修を必要とする橋梁や取水堰について、順次関係者と協議を進めておりまして、協議が調ったところから改修を進めているところでございます。  お話の下之郷堰につきましても、現況堰の撤去に向けまして、現況の利用状況、受益地の状況、今後の用排水計画などを把握しつつ、今後とも関係者と調整を進めてまいりたいと考えております。  次に、庄内川の枇杷島地区三橋梁の改築についてでございます。  枇杷島地区は、河川の狭窄部、幅が狭いところでございまして、また、県道枇杷島橋初め三橋梁は、けた下高も低いため、洪水の流下を妨げており、一刻も早く改築をしまして、庄内川の流下能力を改善する必要があると考えております。  事業主体でございます国土交通省は、これまでに堤防の拡幅工事を実施いたしますとともに、三橋梁の改築に向けまして、関係機関との調整を行ってきております。現在、鉄道橋改築の実施手順ですとか、工事期間中からの地域交通の確保など、解決すべき課題がございます。  県といたしましては、橋梁の改築工事にできる限り早く着手できますよう、これらの課題につきまして、国とともに関係機関との調整を積極的に進めてまいりたいと考えております。  最後に、既設浄化槽の雨水貯留施設への転用に対する県の普及促進策と支援策についてお答えを申し上げます。  新川流域は、下水道整備の途上にある市町が多くありまして、下水道に接続する際に不用となる浄化槽を雨水貯留槽に転用し、活用することは、浸水被害の軽減に有効な手法の一つであると考えております。  このため、平成十九年に県と流域十五市町で策定をいたしました流域水害対策計画におきましても、不用となる浄化槽を雨水貯留槽に活用することを流域市町がPRしたり、助成等に取り組んでいくとしているところでございます。  現在、流域内の十五の市町のうち、北名古屋市を初め九市町におきまして、浄化槽の転用に対する助成制度を設けており、過去五年間の実績でございますが、五百四十三件と平均年当たり百件を超えていますものの、この間に当地域で新たに下水道に接続をいたしました全件数の二%に満たず、十分に活用されているとは言えない状況ではないかと考えております。  したがいまして、県としましては、今年度創設をされました国の社会資本整備総合交付金も活用いたしまして、既に助成制度を設けています市町に対しましては、住民の自己負担を軽減できる制度の拡充を、また、制度を設けていない市町に対しても制度の創設を今後とも積極的に働きかけてまいりたいと考えております。  さらに、県民の皆様方に対しましては、市町が設けている助成制度を活用した浄化槽転用の促進について、引き続きPRに努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 9: ◯産業労働部長木村聡君) 航空宇宙関連の産業政策に関して三点の御質問をいただきましたので、順次お答え申し上げます。  まず、企業や拠点の集積についてであります。  航空宇宙産業は、将来の本県経済を担う重要な産業でありますことから、平成二十一年三月に航空宇宙産業振興ビジョンを策定し、JAXAの飛行実験場の誘致やMRJの技術試験場整備に対する県有地の貸し付けに加えまして、中小企業を対象とする専門的技術者の育成研修や海外販路開拓支援など、さまざまな取り組みを進めてきたところでございます。  現在策定中の産業労働計画におきましても、航空宇宙産業の育成、振興を重点プロジェクトの一つとして位置づけまして、御指摘のありました名古屋空港周辺を含め県内全域を対象として、諸施策を加速、充実してまいりたいと考えております。  具体的には、高度先端産業立地促進補助金を活用して関連企業の集積を図りますとともに、土地の開発、造成が必要となります場合には、企業の具体的なニーズを伺った上で、市町村と一体となって取り組んでまいりたいと考えております。  次に、研究開発基盤の整備強化による企業の誘因についてであります。  現在整備を進めております知の拠点におきましては、航空宇宙産業にも有益な先端素材分析機器を整備いたしますとともに、ナノマイクロ加工技術の研究開発などを行うこととしております。これまで産業技術研究所で実施をしております難削材、これは切削加工が難しい素材でありますが、この加工に関する技術開発などとあわせまして、こうしたハード、ソフト両面での取り組みをこの地域の魅力としてしっかりとPRをいたしますことによりまして、関連企業の誘致にもつなげてまいりたいと考えております。  なお、現在、中部経済産業局が中心となりまして、炭素繊維複合材の研究拠点の整備について検討が行われることになっております。県といたしましても、この取り組みには積極的に参加してまいりたいと考えております。  最後に、技術、技能人材の育成についてであります。  本県では、これまで産業技術研究所が中心となりまして、高度な加工技術や航空機に特有の設計に対応できる技術者の育成研修を行ってまいりました。  今後とも、航空学科を有します地域の大学等と連携をいたしまして、高度な技術、技能を有する人材の育成に取り組みますとともに、本県で養成した人材が在学中から関連企業や業界への理解を深め、本県の航空宇宙関連産業で力を発揮していただくことができるように、企業とのマッチング、あるいはインターンシップの導入の支援などに努めてまいりたいと考えております。  私からは以上でございます。 10: ◯知事神田真秋君) 航空宇宙産業政策について、私からもお答えを申し上げたいと思います。  幸いにして、本県は、この航空宇宙産業の分野におきましては日本一の集積を誇っております。特に最近では、他の地域からも大変誘致の要請が強かったJAXAの飛行試験センターを本県に立地することができたものでありまして、これは大変大きい意味があるものと思っております。  また、加えまして、先般、国の新成長戦略に基づく総合特区の提案におきましても、こうした実績などを生かして、当地にアジアナンバーワンの航空宇宙産業クラスターの形成を目指すことにしたところでございます。  この中では、企業立地を促進するための規制緩和に加え、税制、財政上の支援措置、あるいは国と連携して推進すべき大型の研究開発施設の重点整備などを盛り込んでいるところでございます。  ぜひとも総合特区の指定を受けた上で、実現する施策を最大限活用して、この地域が有する最高水準の知見や技術を生かしながら、航空宇宙産業の育成、振興に努めてまいりたいと考えております。  揺るぎない航空宇宙の拠点にしてまいりたい、また、トップランナーとして、この地域が航空宇宙分野で走り続けていきたいと、そのような思いでおります。本県経済の持続的な成長にこれをつなげてまいる考えでございます。 11: ◯十八番(安藤としき君) 河川の治水対策、そして、航空宇宙関連産業の集積について、ただいま神田知事初めそれぞれ理事者の方から御答弁をいただきました。それぞれについて御要望を申し上げたいと思います。  河川の治水対策については、東海豪雨の河川改修事業費、これの予算の約四分の一を新川の激特事業や支川の整備事業に重点的に投入し、早期に効果発現に努めていただいているとの御答弁でございました。  しかし、五条川の改修事業一つを見ても、おおむね三十年の長期計画であり、現在、進捗は二割弱の状況です。さきにも申し上げましたが、東海豪雨により被災された方々にとっては、もう十年ではなく、まだ十年ではないのでしょうか。  財政が厳しい状況ではありますが、事業の選択と集中、これにおいて、現在お住まいになっておられる地域がより安全で安心に暮らしていただける迅速な河川改修を進めていただくとともに、危険性を少しでも早く回避するために、下之郷堰の撤去や庄内川の三橋梁の改築について、関係者との調整を早期に進めていただくよう御要望をいたします。  また、浄化槽の雨水貯留施設への転用についてでございます。  県でも、浸水被害の軽減に有効な方法だというふうに考えられており、河川の治水対策の有効な一つの手段だとただいまも御答弁をいただきました。浄化槽の転用に対する助成制度、国及び市町でも設けられておりますけれども、先ほど御答弁のあったように、普及率はわずか二%に満たない状況ではないのでしょうか。ぜひ、先ほども御答弁のあった河川の治水対策の有効な一つの手段、これをきっちり県のほうで位置づけていただいて、県の支援策を検討されるよう強く要望を申し上げたいというふうに思います。  次に、県営名古屋空港の周辺地域と、そして、航空宇宙産業の集積についてでございます。  特に、航空機の機体製造には滑走路が必要であることは言うまでもございません。そしてまた、県内で活用できる場所は県営名古屋空港でしかないというふうに思います。施策の時期を逸して、機体製造が他県に移ってしまうような失策は許されないというふうに考えております。関連産業の集積も、そして望めなくなるのではないのでしょうか。  この産業集積には、雇用の促進や地域振興、そして、県財政の財源確保といった県にとって喫緊の課題に対する政策でもあるというふうに私は考えております。ぜひスピード感を持って取り組んでいただくよう強く要望し、発言を終わります。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 12: ◯三十八番(神戸洋美君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 13: ◯議長日高昇君) 神戸洋美議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 14: ◯議長日高昇君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。     午前十一時二十一分休憩      ━━━━━━━━━━━━━━━━━     午後一時開議 15: ◯副議長(奥村悠二君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  通告により質問を許可いたします。  鈴木愿議員。     〔五十九番鈴木愿君登壇〕(拍手) 16: ◯五十九番(鈴木愿君) 久しぶりの一般質問であります。通告に従って、今回、二つの課題について質問をいたします。  私は、平成十一年、つまり、西暦一九九九年、スリーナインの一員として、神田県政とともにこの十二年間、ひたすら県政の均衡ある発展を願い、この場で幾度か議論を重ねてまいりました。この間、神田県政は、愛知万博、中部国際空港の開港を初め、国幹道としての伊勢湾岸、東海環状、そして、名古屋高速、さらには知多半島四車線化、設楽ダムの着工同意など、超大プロジェクト事業も着実に進め、産業立県愛知の基盤を確固たるものに仕上げてこられました。  しかし、時代は流れ、世界的な同時不況、そして、国内での政権交代による予想だにしない政策変更など、今まさに先行き極めて不透明な時期に直面し、新しい諸課題が次々と起こりつつあります。  そこで、今回は、その一つとしてわき上がってきました愛知県と三重県を結ぶ唯一の海上交通の伊勢湾フェリー問題について幾つかお伺いいたします。この問題は、先日の我が党の田辺幹事長の代表質問でも取り上げられましたが、視点を少し変えて幾つかお尋ねいたします。  今回のこの航路存廃問題を振り返りますと、ちょうど半年前の三月二十四日に、突如、伊勢湾フェリーから九月三十日で航路を廃止し、会社を清算すると発表したことは、まさに寝耳に水であり、地元にとって極めて衝撃的なものでありました。  とりわけ、伊良湖港を抱える我が田原市では、この航路廃止は、観光や物流、地域間交流などに多大な影響を及ぼし、渥美半島が陸の孤島になりかねない強い危機感が全市に広がりました。  この唐突な発表の翌日、つまり、三月二十五日の三月議会閉会直後、議場から退席する間隙を縫って、田原市長から神田知事に対して、航路存続への支援を求める緊急要望を行ったのであります。  その後、地元では、四月八日に東三河八市町村と議会、商工団体を会員として、また、本日議場に見える東三河選出のすべての県議会議員を顧問とする東三河地域鳥羽伊良湖航路存続対策協議会が結成され、こうした地元の熱意にこたえる形で、同月、愛知、三重の両県が中心となり、田原市、鳥羽市、国の機関も加わって、鳥羽伊良湖航路対策協議会も設立されたのであります。  以来、四カ月という大変短い期間に、存続を求める署名活動や要望会など、活発に展開されたのであります。存続署名は何と二十八万人余という莫大な存続署名が寄せられ、知事や国に届けられたのであります。  こうした多くの関係者の真剣な取り組みによって、会社は、国に提出していた九月末日での廃止届を八月二十三日に取り下げたことで、正式に存続が決まったのであります。  神田知事は、さきの六月議会で我が党の代表質問に対し、何とか存続させたいという気持ちは、私を含め関係者の一致するところと答弁され、今まさにその言葉どおりの結果となり、地元の多くの皆さんの思いが実を結んだことをうれしく思うと同時に、答弁どおり存続を実現された知事の決断に深い感謝を申し上げたいと思います。  田原市と伊勢志摩地域では、伊勢湾フェリーを利用した少年野球の交流試合が長年にわたって続いておりますが、折しも航路存続が決まった翌日、伊勢市で行われた開会式で、田原市の少年が選手宣誓で、伊勢湾フェリーの存続に感謝し、みんなとの交流がさらに深まるよう元気いっぱいプレーしますと叫びました。存続決定は、こうした少年たちの純粋な気持ちにもこたえることにもなったのであります。  ところで、今回、航路の廃止問題がなぜ起こったのか。一口に、ひとえに利用者の減少に歯どめがかからなかった、これに結論は尽きると思います。では、どうしてその歯どめがかからなかったのか。いろいろな説が言われておりました。リーマンショックによる景気の低迷や、あるいは新型インフルエンザの影響などで観光客が年々減少したこと、これもある程度原因かもしれません。また、一方では、中部国際空港の開港を見据えた新設航路の過剰投資や、あるいは利用促進のための経営努力がどうであったのか。  このフェリー問題は、実はここだけではなし、全国各地で同じような状況が起こっておりますが、私は、道路問題がフェリー客減少の最大の原因ではないかと思います。この鳥羽伊良湖航路もまさにそうであります。  ここ十数年来、国幹道は飛躍的に整備され、伊勢湾を取り巻く東名豊田ジャンクションから四日市に至る伊勢湾岸自動車道、東名阪自動車道、そして、伊勢自動車道など、すべてがインターチェンジで結ばれ、利便性は予想以上の効果を上げてきました。加えて、土日、つまり、休日利用の上限一千円などの高速道路の割引制度や、つい最近では、伊勢自動車道のような完全無料化の社会実験の実施など、利便性と低料金化には、フェリーのような海上交通は到底太刀打ちできませんでした。  さらに、伊勢湾フェリーで最も致命的とも思われる原因は、豊橋から渥美半島を縦貫し、伊良湖港に直結するという、つまり、知多半島のような自動車専用道路が今もってその姿さえ見えないということであります。  過日、私は、自分の車で東名豊川インターチェンジを起点に、国道百五十一、小坂井バイパス、それから、東三河臨海道路を経て、国道二百五十九号で伊良湖まで、実は走行テストをしてみました。法定速度は五十キロ走行で原則守りました。距離は五十六・一キロ。信号機の数は何と八十二カ所。所要時間は、法定速度で一時間四十分でした。これは、火曜日という、午後二時から四時という、大変車で行くと交通量の少ない時間でありました。つまり、東名からフェリーを乗り継ぎ鳥羽までは、乗船手続、あるいは船の待ち時間を含めると、八十キロメートルを三時間余り要すということであります。  料金をちょっと見てみますと、普通車で四人乗りでフェリーで渡った場合、自動車代と料金で一万一千円かかります。では、道路を走った場合、豊川インターから伊勢自動車道を通った場合に、同じ時間は三時間弱でありますが、料金は千円で済みます。つまり、一万一千円と千円という、この料金格差であります。  以上、これまでの伊勢湾フェリーにまつわる経過と原因等を調べて、その実情を前提にして、これからお尋ねいたします。
     まず初めに、十月から二県二市も株主の、十月というのはあしたからでございます、二県二市も株主の一員として、新会社によって鳥羽伊良湖航路も継続運航されますが、先ほど来申し上げましたように、取り巻く環境は決して楽観、好転する状況にはありません。存続後、新会社が安定して維持、経営していくために、さまざまな工夫をして利用者をふやす努力が必要と考えますが、利用促進策について、地元とどう連携してどのような取り組みをしていくのか、県のお考えをお教えいただきたいと思います。  次に、関連して、先ほど申し上げました道路についてお尋ねいたします。  私は、過去十年来、一貫して東三河の幹線道路問題について訴えを続けてまいりました。もう間もなく国道二十三号、つまり、名豊道路の高架事業も一部は完成し、渥美半島入り口部における道路環境は大きく改善されるものと期待しております。  しかしながら、半島部では、依然として三河港周辺を中心に交通渋滞は激しく、道路整備が大変おくれている状況であります。鳥羽伊良湖航路の利用者を増加させるためには、使いやすい環境を整える必要があり、伊良湖から東名高速までの時間短縮を図ることが極めて重要であると考えます。  加えて、渥美半島では、三河港臨海部において自動車関連企業が集積し、昨年秋には、東京製鐵田原工場が操業を開始するなど、愛知県全体の産業力向上を担う大変重要な地域であります。  また、当市は、全国第一位の農業生産額を誇り、電照菊などの花卉や野菜、畜産などを中心に、いずれも収益性の高い農業が営まれております。さらに、観光面でも、伊良湖岬など知名度の高い海岸美を有し、観光農業や海洋スポーツと相まって、数多くの観光資源に恵まれております。  こうした当地域の高いポテンシャルを最大限に引き出すためにも、渥美半島を縦貫し、東名、新東名、名豊道路などの広域幹線道路といかに機能的に連絡する幹線道路の整備が不可欠であるかと考えます。  我々の渥美半島地域においては、かねてより伊勢湾口道路、つまり、伊良湖から鳥羽へ橋をかける伊勢湾口道路、三河湾口道路、伊良湖から篠島、知多半島の師崎に向けての三河湾口道路、規格の高い幹線道路の構想があります。  今、経済が疲弊し、国の財政も厳しい状況の中、将来へつなぐ夢や希望の持てるプロジェクトに活気が見られませんが、このような時代だからこそ長期的な視点に立ち、百年の計を持って、地域一丸となり、火を消さないような活動の維持、継続が必要と考えます。  この件に関しましては、以前、この席でお尋ねしたこともありますが、特に伊勢湾口道路については、私も役場の時代を含めて四十年来運動をしてまいりました。国の大プロジェクトとして、全総、新全総にも位置づけられましたが、まだ具体化の見通しは立っておりません。壮大な構想であることから、すぐに全線の具体化とは申しませんが、まずは半島部の具体化を切望するものでございます。このことは、鳥羽伊良湖航路の活用の支援にも必ずやつながるものと考えます。  そこでお尋ねいたします。  渥美半島における幹線道路整備の現状と将来について、県としてのお考えを改めてお伺いいたします。  次に、二番目の課題に入ります。  昨日も浅井議員が同様のお尋ねもありましたが、河川・海岸堤防の耐震化工事について、的を絞ってお尋ねいたします。  昨年八月に、駿河湾でマグニチュード六・五の地震が発生しました。御前崎では震度六弱の揺れが観測され、東名高速道路ののり面が崩れ、通行どめになりました。このとき、東海地震の判定会委員打合会が開かれ、東海地震観測情報が発表されました。ついに東海地震の発生かと私も緊張が走ったものです。  本県に多大な影響を与える東海地震、東南海地震の発生が懸念されて久しく時がたっております。国の地震調査研究推進本部では、今後三十年以内にマグニチュード八の東海地震が発生する確率を八七%に、また、マグニチュード八・一の東南海地震が発生する確率を六〇%から七〇%になると想定しています。  このように、大地震の発生は非常に差し迫った状況にあります。愛知県防災会議が東海・東南海地震連動による被害想定では、愛知県全体で死者は何と二千四百人、負傷者六万六千人、家屋全壊、半壊三十二万八千棟、経済被害額約十二兆円と被害は驚愕な規模になることをはじき出しています。  また、津波の発生を想定したシミュレーションでは、地震発生後わずか三十分で、我が渥美半島伊良湖岬の先端に高さ六メートルの津波が襲来し、少しおくれてですが、三河湾の内側にも地震発生から五十分後には渥美半島の福江付近に高さ二・五メートルの津波が襲うという予測がされております。  ちなみに、この津波による死者はどのぐらいでしょうかといって、この間、防災局の幹部に聞いたら、お気の毒にとは言いませんが、残念なことに、そこで出るのは渥美半島と知多半島しかありませんと。つまり、立地条件からして、当然真っ先に受ける渥美半島はまず第一、その次に奥に入って知多半島、そこからは津波の死者も出ますと、こういうことであります。  愛知県防災会議の地震部会による、いわゆる津波の被害、昔の歴史を、古いですが、ちょっとたどってみますと、もう三百年前の話なんですが、宝永東海地震では大津波が発生し、この津波により家屋の崩壊流出は一万棟、死者二千人に及んでおります。この津波は、太平洋に面した表浜のみならず、三河湾の内側にも大きな被害をもたらし、現在の田原市の汐川において、津波により堤防が決壊、多くの田畑が流出しました。このため、汐川の堤防を──汐川というのは、田原の市街地を走っておる二級河川であります──修復するために約三万人の領民が動員され、このほかの河川や道路の修理に駆り出された人足は、延べ五万人に達したと言われております。このときの田原の津波高は、四メーターから五メーターと推定されています。  過去のたび重なるこうした大地震と、その後に発生する大津波の猛威による恐ろしい体験により、地域が津波に対して備えた実話としてこんなことがあります。渥美半島の日出、日出というのは伊良湖岬のところです、渥美半島の日出では、人家や先祖伝来の田畑を守るために、地元特産のイノカイやカキの殻、イノカイというのは黒い貝のことなんですが、その殻を積み上げてできた、いわゆる貝殻ボタと呼ばれる津波よけの防潮堤を日出から堀切海岸三キロに、実は堤防を築いたそうであります。江戸時代には、既にその原型がつくられたと言われており、昭和三十年代まで、子供たちがこの上で遊ぶことを嫌っていました。村を守るボタの傷むのを恐れていたということであります。  地元では、通称ボタ山と呼ばれるこの防潮堤も、もうできてから五十年を経過し、今、その修復が必要な部分があります。周辺の森林整備とあわせて、自然環境保全治山事業として、一昨年から五カ年計画、約三億五千万円ほどかけて、実は、これは農林水産部の所管で既に事業が始まっております。  もう一つ、ちょっと古い話で、これは我々も記憶もありますが、近年、昭和十九年、つまり、三重県沿岸にマグニチュード七・九の地震が発生し、東南海地震と名づけられ、三重県の尾鷲で津波が九メートルに達しました。この地震による被害の総計は、家屋全壊三万四千九百四十六戸、流出したのは三千百二十一戸、死者は何と千二百二十三人と甚大なもので、我が渥美半島の福江でも、地震で住宅の全壊、半壊四百五十一棟、死者も出ております。  このように、歴史が示すとおり、愛知県は何度も大地震に見舞われ、津波により大きな被害を受けてきました。地震や津波への対策は、県にとって最も重要な課題であります。そのため、愛知県では、地震や津波に備える河川・海岸堤防の耐震対策が平成十四年度から第一次あいち地震対策アクションプラン、また、平成十九年度から第二次あいち地震対策アクションプランに基づき着実に進められているところであります。  しかしながら、すべての河川、海岸において耐震対策が完了しているわけではありません。昨日のお話のとおりであります。さらに、愛知県の海岸堤防は、大半が整備後五十年が経過しており、コンクリートの老朽化も進んでいるため、今後予想される東海地震、東南海地震や、それに伴う津波に耐えられるか心配されるところであります。このように、地震の発生に伴う堤防の決壊や、津波の襲来による浸水被害の拡大が大変危惧されております。  そこで、あいちアクションプランに位置づけされている河川・海岸堤防における耐震対策の整備の考え方について、まずお伺いいたします。  また、田原市が作成した防災マップでは、例えば福江漁港付近において津波浸水危険区域が示されています。地域住民から、この地域の河川・海岸堤防の耐震対策の着手を望む声もたくさん聞こえてまいります。  そこで、整備後五十年以上経過し、老朽化が進み、地震被害も懸念される福江漁港付近の河川・海岸堤防の今後の対策についてもお伺いをいたします。  最後に、この河川堤防と海岸堤防の構造についてお伺いいたします。  東三河地方に甚大な被害をもたらした昭和二十八年の台風十三号では、高潮によりとうとい人命が失われました。また、昨年十月八日に上陸した台風十八号により、経路の東側になった東三河地方では、三河港のコンテナが流出するなど、かなりの被害があったことは記憶に新しいところであります。この高潮の対策として、汐川の堤防のかさ上げなど、県当局の早急なる対応に、被災住民はむしろ大変感謝しており、私からもこの場をおかりしてお礼申し上げます。  海岸沿いの限られた平野に暮らす県民にとって、高潮から被害を防ぐ堤防はかけがえのない施設であり、決壊しないような構造としておくことが何よりも重要であると考えます。このことは、海岸堤防に限ったことではなく、海へ流入する河川堤防の河口部においても同様であると考えます。  私の地元では、田原市を流れる免々田川では、河口部にある常堰橋の上流左岸は土堤防、いわゆる土の堤防となっています。一方、橋の下流側は、堤防の三面がコンクリートで覆われた構造となっています。県からは、この常堰橋の下流側が海岸堤防で、上流側は免々田川の河川堤防であると聞きましたが、地元の人も、橋を境にして堤防の構造がなぜ違うのか、大変注目というより不思議を感じております。  そこで、海岸堤防と河川堤防が隣り合うところでなぜ構造が違うのか、わかりやすくひとつ説明をしていただきたいと思います。  さらに、常堰橋の上流側の堤防につきましても、高潮被害を防ぐためには、下流側と同じようにコンクリートで三面張りをすることが望ましいと考えますが、県当局のこの辺の考え方についてお伺いをして、壇上からの質問といたします。(拍手) 17: ◯地域振興部長山田周司君) 鳥羽伊良湖航路の利用促進策についてお答えをいたします。  この航路を維持、存続していくためには、地元の皆さんに積極的に利用していただくとともに、国内外から観光客の利用をふやすなど、地域全体で利用促進策を展開していくことが重要であると考えております。  こうした中、現在、田原市と鳥羽市が中心となり、公共交通の利用促進活動などを支援いたします国の地域公共交通活性化・再生総合事業の活用に向けて、事業主体となる協議会を十月に設立できるよう、準備が進められているところであります。地元市のほか、国や県、地域の商工・観光団体、伊勢湾フェリーなどを構成員といたしますこの協議会では、航路のPR、観光プランの提案、船舶やターミナルの快適性の向上、利用しやすい運航ダイヤの設定など、利用促進策が検討され、実施に移されていくことになります。  現在、本県としては、商談会等を通じた旅行会社へのツアー企画の働きかけや情報誌等への掲載など、観光面での需要拡大の取り組みを行っておりますが、今後、この協議会への参画を通じて、地元との連携を密にし、知恵を出し合いながら、一層の利用促進に取り組んでまいりたいと存じます。  以上でございます。 18: ◯建設部長川西寛君) 伊勢湾フェリー存続と道路問題のうち、渥美半島における幹線道路整備の現状と将来についてお答えを申し上げます。  渥美半島の地域振興を支える上で、県としまして、半島の各地からネットワークが充実しつつあります名豊道路や東名高速道路などの広域幹線道路までのアクセス時間の短縮をいかに進めるかが重要であると考えております。  このためには、まず、ボトルネックとなっております三河港周辺の渋滞を緩和することが重要であり、県では、現在、渥美半島を縦貫する主要幹線道路でございます国道二百五十九号植田バイパスや、主要地方道豊橋渥美線のバイパス等の整備を進めておりまして、今後とも、新たな社会資本整備総合交付金の整備計画に位置づけて、整備の促進を図ってまいりたいと考えております。  また、将来を見据えました構想として、伊勢湾口道路は、浜松三ケ日、豊橋方面と伊勢方面を結ぶ地域高規格道路の三遠伊勢連絡道路として位置づけられておりまして、国土形成計画においても、長期的視点から取り組むプロジェクトとされているところでございます。  その中で、県といたしましては、まず、東名高速道路の、仮称でございますが、現在整備中の三ケ日ジャンクションと名豊道路を結びます仮称浜松三ケ日・豊橋道路につきまして、関係をいたします静岡県、浜松市とも連携を図りつつ、計画の具体化に向けました基礎的な調査を実施しているところでございます。  いずれにいたしましても、渥美半島の観光や産業の振興には道路整備は欠くことのできないものであると考えておりまして、現在事業を進めております区間の早期完了に努めますとともに、この地域にとって真に必要な道路整備を着実に進めてまいりたいと考えております。  次に、河川と海岸堤防の耐震工事のうち、耐震対策の整備の考え方についてお答えを申し上げます。  耐震対策につきましては、背後地が海抜ゼロメートル地帯で、地震による堤防の沈下により浸水するおそれがある区間を要対策区間としております。このうち、さらに民家が連担するなど、津波によりまして大きな被害が予想される区間を優先対策区間としているところでございます。  現在、県では、平成二十六年度の完了を目標に、この優先対策区間の整備を重点的に進めておるところでございまして、この対策完了後は、要対策区間の整備を進める計画でございます。  次に、福江漁港付近の河川と海岸堤防の今後の対策についてでございます。  福江漁港付近は、標高二・一メートルと海面より高い状況でございまして、要対策区間とはなっておりませんけれども、今後とも堤防の機能を維持するために点検作業を定期的に行いまして、著しい破損個所は補修するなど、地域の安全・安心の確保に努めてまいりたいと考えているところでございます。  最後に、河川堤防と海岸堤防の構造の違いについてお答えを申し上げます。  海岸堤防は、海からの高波を直接受けるために、波が堤防を乗り越えても堤防自体が崩壊しないように三面をコンクリートで補強しているところでございます。一方、河川堤防のうち河口部で設置をしておりまして、高波の影響が及ぶ箇所につきましても、必要に応じて三面をコンクリートで補強しております。しかしながら、河口部に水門を設置する場合は、高波の影響を水門で遮断できるために、水門から上流の河川堤防につきましては、原則として土の堤防のままとしているところでございます。  御質問の免々田川につきましては、常堰橋より下流に水門が移設されておりまして、高波の影響は水門で遮断されることから、常堰橋上流左岸の河川堤防はコンクリートで補強しなくても、台風時に十分機能を発揮できる堤防であるというふうに考えているところでございます。  また、常堰橋上流左岸の河川堤防は、洪水に対しましても必要な堤防の高さや幅が確保されていますとともに、洪水が届く水位までコンクリート製のブロックで補強されているところでございますので、洪水時にも十分安全であるというふうに考えております。  なお、移設をいたしました水門から上流の右岸側の河川堤防の構造につきましては、人家密集地であることから、用地買収の幅を最小限として堤防を整備し、洪水を安全に流す機能を確保するために、左岸側の土の堤防と異なりまして、コンクリート製の壁の構造で整備しているところでございます。  以上でございます。 19: ◯五十九番(鈴木愿君) 伊勢湾フェリーに関連して、ちょっと要望を申し上げます。  きょう九月三十日は、くしくも去る三月に航路廃止届を提出した伊勢湾フェリー、元の株式会社が最後に舟航する日であります。そして、あした十月一日は、愛知、三重の両県、そして、田原、鳥羽の両市も加わった新しい会社の一員としてスタートする記念すべき日でもあります。新会社といえども、根本的な仕組み、条件が変わるわけでもありませんし、条件は依然として厳しい状況であります。  御答弁いただきましたように、新会社の経営努力は当然のことながら、地元を中心とした関係機関の利用促進策や、今後二県二市で協議される財政支援策など、つまり、総合的な支援、取り組みを県としてもお願い申し上げるものであります。  先日、ある県の技術系の職員の方がこんなことを申しておりました。愛知万博やセントレアが開港して五年がたちました。あの世紀の二大プロジェクト事業の目標に向かって十数年、我々職員は一丸となって、苦しい中にも誇りを持って仕事をなし遂げるという使命感に燃えて、目を輝かせて仕事をしてきたと。世紀のイベントの成功に向けて努力をしたという話であります。  しかし、今は目を輝かす夢のある大きな仕事は何がありましょうか。伊勢湾口道路の発想の源は、日本の地域開発について助言を得るため、国連から派遣されたワイズマン調査団によって、日本列島を縦断する第二の車両道路が必要と提言されたことに上ります。  このような国土レベルの壮大な構想を支える夢の大橋として、関係する行政マンや地元市町民の多くの人たちに将来に夢と希望をもたらし、みんなが真剣に取り組んでまいりました。こうした大きな夢、理想を実現する仕事こそが担当者や責任者に誇りとやりがいをもたらすのであります。  しかし、時代が経過した今、社会全体がすべてのことを効率化、特に行政に対しては、人を減らすことを中心にした行政改革しか言われません。そうしたことで、子供や孫に将来の夢を果たして語れるのでしょうか。夢として描いたことは、人間は必ず努力するものであります。  神田知事も振り返ってみれば、将来の愛知のためにと思われて、万博、空港を初め、多くの施策を行政の先頭に立ち、苦労され、これまで大きな事業を実現されてこられました。  改めて、県職員の皆さんが、苦労はあるが、努力をすれば行政マンとしてのやりがいと誇りを持って頑張ることができるように、知事が勇退されるまで、引き続き大きな夢を県職員に託し、その実現のために最後まで叱咤激励していただくことをお願い申し上げ、関連した要望といたします。  終わります。 20: ◯副議長(奥村悠二君) 進行いたします。  安藤まさひこ議員。     〔五番安藤まさひこ君登壇〕(拍手) 21: ◯五番(安藤まさひこ君) それでは、通告に従いまして、順次質問させていただきます。  最初に、本県の高齢者居住施策についてお伺いします。  皆さんも御存じのとおり、愛知県の人口は七百四十二万人弱で、高齢化率は二〇・一%と、既に超高齢社会、高齢化率二一%超にある全国と比較すれば、若い人口構成でありますが、団塊の世代、一九四七年から四九年生まれが六十五歳以上となる二〇一二年から二〇一四年には、老年人口が全国を上回るペースで増加し、愛知県も二〇一五年には超高齢社会に突入するのに伴い、介護が必要な高齢者や、高齢者単身及び高齢者夫婦のみの世帯が今後一層増加していくことが見込まれています。  言うまでもなく、高齢者の多くは、これまでに蓄積した経験や技術、資産を活用して長寿を楽しんでおり、一律に高齢者の増加をネガティブ、マイナスととらえる考え方は改める必要がありますが、高齢化社会への対応は、従来から認識されていた構造的な課題であり、いよいよ本格的な取り組みが必要な差し迫った課題となった、言いかえれば、今ならまだ間に合う、今こそしっかり準備して将来に備えようという時期であると思います。  高齢者の居住の安定確保は、これからの高齢化社会を考えるとき、とても重要な課題となってくることは言うまでもありません。特に、今後、高齢者単身世帯や要介護高齢者が増加することを考えるとき、高齢者のための居住の安定確保は喫緊の課題とも言えるでしょう。  さて、このような状況の中、国は、平成十三年に、高齢者の居住の安定確保に関する法律を制定し、高齢者円滑入居賃貸住宅、高齢者専用賃貸住宅、高齢者向け優良賃貸住宅の普及を図ってきました。  我が県においても、これまでに高齢者向け優良賃貸住宅を十八団地四百七十七戸、また、高齢者専用賃貸住宅が数多く整備されるなど、高齢者住宅の整備促進が図られてきました。  昨年五月、こうした高齢者向け住宅の整備を一層促進するために、高齢者の居住の安定確保に関する法律を改正しました。その改正点の大きな柱は四つあります。  一点目は、基本方針の拡充。二点目は、高齢者居住安定確保計画の策定。三点目は、高齢者生活支援施設と一体になった高齢者向け優良賃貸住宅の供給の促進。四点目が、高齢者円滑入居賃貸住宅の制度改善です。  すなわち、住宅施策と福祉政策の連携により、高齢者が安心して暮らし続けることができる住まいを確保するというのが昨年の改正の大きな目的であります。  そこで、国のこうした施策を受けて、本県として、今後、高齢者住宅の整備をどのように進めていくのかお伺いします。  まず、高齢者居住安定確保計画の策定についてお伺いします。  国は、国土交通大臣、厚生労働大臣が、一、高齢者に対する賃貸住宅及び老人ホームの供給の目標に関する事項、二、高齢者に対する賃貸住宅及び老人ホームの供給の促進に関する基本的な事項、三、高齢者居宅生活支援体制の確保に関する基本的な事項についてなど、基本方針を定めました。  この基本方針に基づき、都道府県は、高齢者居住安定確保計画を定めることとされています。これは、義務規定ではなく、あくまで都道府県の自主的な取り組みに任されていますが、既に大阪府と群馬県が計画を策定しています。また、東京都は、今年度計画案を策定し、パブリックコメントにかけたと聞いています。県として計画を策定する用意はあるのか。あるとすれば、いつまでに策定するのか。また、計画の中で高齢者向け賃貸住宅の供給目標をどうするのか、具体的にお示しください。  二番目に、高齢者向け賃貸住宅政策についてお伺いします。  高齢者専用賃貸住宅、いわゆる高専賃に対して、本年度から国の助成がつくようになりました。これまでは、専ら高齢者に賃貸する住宅として、都道府県や指定登録機関に登録をして、高齢者の利用の便を図るということが主目的でした。しかし、高専賃と言われる住宅の中には、部屋が狭かったり、トイレや浴室が共同であったりというところも多く、改善を求める声も強く出されていました。  こうした状況を踏まえ、昨年の法改正で、高専賃について、一戸当たり床面積を原則二十五平米以上とする。設備も、原則として各戸に台所、水洗便所、収納設備、洗面設備、浴室を設置することを条件として、この条件に合う賃貸住宅を高専賃として新たに登録するよう求めています。  本県において、法改正前と法改正後の高専賃の登録戸数は幾つでしょうか、お答えください。  昨年の法改正では、こうした高専賃の条件を明確にした上で、今後、民間の業者が高専賃を整備する場合に国が助成する制度をつくりました。その一つに、生活支援サービスつき高齢者専用賃貸住宅があります。  この住宅の要件は、さきの高専賃の要件に加えて、手すりの設置や段差の解消など、原則として三点以上のバリアフリー化を行う。緊急通報及び安否確認サービスを提供する。社会福祉法人、医療法人、居宅介護サービス事業者の職員、ヘルパー二級以上の資格を持つ者のいずれかが日中常駐するといった要件を課しています。この要件を満たす住宅を建設する場合に、住宅部分の整備費用の十分の一以内の額を国が助成するという制度です。  国は、こうした制度の説明と公募を行うため、本年三月と七月に、それぞれ名古屋や東京など全国六都市で説明会を行いました。本県から名古屋会場の説明会に出席した人数、公募に応じた事業者数を把握されているのでしょうか、お伺いします。  国が今後高専賃を積極的に整備しようという方向に政策のかじを切った背景には、高齢化の進展の中で、単身高齢者や要介護高齢者が急速にふえることが見込まれる中で、我が国の高齢者向け住まいの整備が諸外国に比べ大きくおくれているという現状があります。  例えば全高齢者における介護施設、高齢者住宅等の定員数の割合について、デンマークでは八・一%、イギリス八・〇%、スウェーデン二・三%、アメリカ二・二%なのに対して、日本は〇・九%にしかすぎません。  こうしたことから、国土交通省が本年五月にまとめた成長戦略では、二〇二〇年をめどに、高齢者向け住宅の割合を欧米並みの三から五%にするとの目標を打ち出しました。そのため、民間事業者の活力に期待しようということで助成制度がつくられたと理解しております。  国土交通省は、昨年十二月二日付の開発許可制度運用指針で、介護保険法に適合した高専賃について、都市計画、福祉政策の観点から支障がないと地元の市町村長が判断した場合、開発許可権者である県や政令市、中核市等は、市街化調整区域内でも開発許可を与えることができるとしました。  そこでお伺いします。  市街化調整区域内にこれまで開発を許可した適合高専賃は何件ありますか。また、こうした国の施策を受けて、本県において、今後、高専賃を核とした良質な高齢者向け住宅の供給をどのように促進していくお考えなのかお示しください。  次に、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の営業所設置に関してお伺いします。  現在、風営適正化法において、パチンコ店の営業には都道府県公安委員会の許可が必要とされています。具体的には、風営適正化法施行令六条に基づいて、都道府県は条例でパチンコ店等の営業所の許可基準を定めています。施行令六条では、営業所を制限する地域について、一、住宅集合地域、二、学校その他の施設の周囲おおむね百メーターの区域とされています。この施行令に基づいて、各都道府県が条例を定めているわけです。  最近、名古屋市でも見られる現象ですが、学校その他の施設の周辺に、パチンコ店にスーパー銭湯などを併設した複合施設を建てるというケースが見られます。この場合ですと、百メーターという規制をすり抜けて営業許可の申請が出されることもあります。しかも、当事者である学校や地元住民に対して何の説明もされないまま建設が進むというケースがほとんどです。  例えば、現在私の住んでいる名古屋市東区の東大曽根にあるピアゴ、旧ユニーの跡地に、敷地面積八千四百平米、駐車場九百台、駐輪場三百台を備えた地上八階建ての超大型のパチンコ店、公衆浴場の建設が進められています。この複合施設の近隣には名古屋市立桜丘中学校があり、すぐ南側には、尾張徳川藩にゆかりのある徳川園があります。名古屋城から徳川園に至る一帯は、文化の道としてはぐくまれてきた地区でもあります。
     この複合施設の場合、敷地は中学校から百メーター以内に入りますが、パチンコ店の建物は百メーターを超えます。このため、風営法の対象とはならず、ことしの十二月完成を目指して工事が進行しています。  この計画は、昨年から水面下で進められ、多くの地元住民が知ったのは、ことし三月に入ってからという状況でした。その後、地域のPTAが中心となって署名活動が行われ、八千名を超える建設反対の署名が集まりましたが、計画を撤回させるのには至らなかったということです。  今後、このようなパチンコ店を併設した複合施設がふえることが予想されます。パチンコ店単体なら風営適正化法の百メーター規制を受けるわけですが、複合施設とすることで、この規制を逃れることができるというのは、市民感情からいっても納得できるものではありません。  現在、国においても、こうした複合施設に対する規制がない状態ですが、だからといって自治体で手をこまねいていいという理由にはなりません。  そこで、警察本部長にお伺いします。  そもそも、百メーター規制はパチンコ店単体を念頭に置いてつくられたものであり、現在のような複合施設は念頭になかったと思われます。時代の変化に合わせて条例の百メーター規制をもっと厳しくすることはできないでしょうか。さらに、パチンコ店の営業に利用される駐車場等の付随施設を風俗営業所と一体として扱い、規制すべきだと考えますが、あわせてお伺いします。  次に、本県の条例において、学校その他の施設の学校は、学校教育法第一条に定められた学校と規定されています。そうなると、不登校だった生徒や病気で休みがちだった生徒などの教育の場であるフリースクール等はこの規制で守られなくなり、現に、これも名古屋市の例ですが、パチンコ店を併設した複合施設ができるということで、このようなフリースクールが移転を余儀なくされたというケースも伺っております。  また、先ほど申し上げた桜丘中学校や、この地域を通学路にしている近隣の高校等に通う生徒への影響が考えられる通学路についても、条例で保護する対象に加えることはできないかなど、学校の規定をもう少し広くとらえることはできないかお伺いします。  最後に、先ほど申し上げた営業所の建設については、八千名を超える住民の反対署名が出されていますが、仮にこのようなパチンコ店の営業所が許可され、その後、営業所が拡大されるようなことがあれば、さらに住民の不安は増大します。したがって、営業許可後においても、このような営業所の拡大を防ぐことはできないでしょうか、お伺いします。  次に、三つ目の質問ですが、私も、去る八月二十二日から二十九日にかけて、北米調査団の貴重な団員として調査をしてまいりました。その中から、イベント・コンベンション誘致の取り組みについてお伺いします。  私が訪問したシカゴでは、北米屈指の国際会議と展示会の会場施設であるマコーミックプレイスと呼ばれる施設を訪問し、同施設の関係者やシカゴ・コンベンション観光ビューローの関係者から、大規模会議、展示会といったコンベンションの誘致戦略について聞き取りを行いました。  アメリカでは、国土の大きさ、ビジネスのグローバリゼーションの進展もあり、大規模な国際会議や展示会、学会など、いわゆるコンベンションが交渉や商談、研究交流などの場として非常に重要な機会となっており、それらは米国内にとどまらず、世界各地から多くの来訪者を迎えるものとなり、その開催は地域経済に大きなインパクトをもたらすものとなっています。  日本においても、こうしたコンベンションの誘致の重要性が以前から認識され、愛知県を含めまして各地域が競って誘致活動を行っていると理解していますが、数年に一度の大規模イベントにとどまらず、地域の日々の経済活動や、観光業に大きな利益をもたらすコンベンションの愛知県内での多数の開催に向け、さらにこの分野に力を入れていく必要があるのではないかと感じているところです。  そうした中で、今回訪問したシカゴのマコーミックプレイスは、全米屈指のコンベンション施設であり、四棟の大規模展示施設を持つほか、百七十三室に及ぶ会議室や四千名収容の大ホールを有し、施設総面積は約二十四万平米と、日本の幕張メッセの二十一万平米を上回る巨大施設となっています。  それらの建物は、一九六〇年の最初のオープンからこの規模を誇っていたわけではなく、利用の拡大とともに増設が図られ、また、最近では、医療関係のコンベンション誘致をねらいとした四棟目の施設が二〇〇七年に完成したところです。このマコーミックプレイスでは、年間六百件ほどの国際会議、展示会、イベントが行われ、そのうち大規模なものは年間で約百十件に上っているとのことであり、コンベンション都市を標榜するシカゴ市の中核的施設となっています。  しかしながら、今回の訪問で私が強く印象を持ったのは、シカゴという大都市自身が、みずからの得意分野であるはずのコンベンション誘致において強い危機意識を持っている点でした。  近年、アメリカ国内では、カジノで有名なネバダ州ラスベガスや、ディズニーワールドで有名なフロリダ州オーランドなど、娯楽施設が集まる都市でのコンベンション開催の人気が高まってきており、訪問したシカゴ・コンベンション観光ビューローの関係者も、開催件数が減少することは、ホテル、レストラン、ショッピング、広告、運輸など、さまざまな分野で地域経済に大きな打撃を与えるとの懸念を持っておられました。  そして、その説明からは、みずからを競争の真っただ中に位置づけ、地域内の魅力、強みに着目するとともに、また、コンベンション主催者のニーズ、そして、地域が補強すべき点を直視し、誘致活動の強化を図ろうとしていることが強く感じられました。  現在、このシカゴ・コンベンション観光ビューローでは、十四名の職員がコンベンション誘致業務に従事しており、ドイツ、イギリス、中国に持つ事務所も活用しながら、誘致に向けてセールスの強化や、施設利用の規制緩和などにも取り組んでいるとのことでした。  とりわけ、活動面では、自分たちの力だけで誘致が実現できるわけではないとの考えから、会場施設の案内や宿泊施設の案内にとどまらず、ホテルや美術館、博物館などとも連携し、より魅力のあるプランを顧客に提示するように強く心がけているとのことでした。  さらに、国際的な企業ランク評価にも使われるフォーチュン誌の世界五百社のうち三十社がシカゴに本社を持つというビジネスの集積や、シカゴ広域圏に二十六の人種が住み、百三十の言語が話されているという都市の国際性を全面に打ち出し、ビジネスを一緒にやっていくまちとしてセールス活動を行っているとのことでした。  コンベンションの誘致では、アジア諸国の成長とともに、ライバルは国内にとどまらない状況にありますが、こうした中にあっても、こうした地域の特色を生かした戦略を掲げて、多くの地元事業者を巻き込んで誘致活動を行っていくことが重要であると考えます。  厚い産業集積を有する愛知も、シカゴの事例のように、ビジネスを一緒にやっていくまちとして打ち出していくことも一つの参考例ではないかと思われます。  本県においては、ことし三月に愛知県観光振興基本計画を策定し、その中でイベント・コンベンションの誘致推進を掲げ、いわゆるMICE、これは企業などが行う会議(ミーティング)、企業が行う報奨・研修旅行(インセンティブトラベル)、国際会議(コンベンション)、イベント、展示会、見本市(イベント・エキシビジョン)の頭文字をとったものでありますが、このMICEの誘致を行うとしており、これに向けた人材育成や関係機関との連携による研究を進めていくこととしております。  また、市町村が行う国際会議などの開催に向けた取り組みを支援するとともに、イベント・コンベンションを愛知で開催する利点を国際的な展示会においてPRするとしています。  コンベンション誘致では先進地域と考えられる京都市では、既にことし三月には、京都市MICE戦略を策定しているようでありますが、本県でも、ぜひこうした戦略を策定し、誘致実現につなげることで、地域の観光産業、関連産業の発展につなげていかなければならないと考えています。  そこでお伺いします。  本県でのMICE誘致に関する取り組みの現状はどうなっているのか、今後どういう産業分野をターゲットとして誘致を目指すのか、具体的な数値目標も含めてお伺いします。また、MICE戦略を今後作成する予定はあるのか。  以上、三点についてお伺いいたしまして、私の壇上からの質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) 22: ◯建設部建築担当局長(金田健君) 本県の高齢者居住施策についてのお尋ねのうち、まず、高齢者居住安定確保計画の策定についてお答え申し上げます。  高齢者の方々が安心して暮らし続けることができる社会の実現に向けて、住宅施策と福祉施策が連携し、高齢者向け賃貸住宅や老人ホームなど、高齢者の住まいに係る施策を総合的に展開するために本計画を策定したいと考えております。  その策定時期につきましては、老人ホームの入所定員数など保健福祉サービスの目標量を示します現行の高齢者保健福祉計画の計画期間が平成二十一年度から二十三年度までとなっておりますことから、平成二十四年度からの次期高齢者保健福祉計画と同時期にスタートできるよう策定作業を進めてまいります。  また、高齢者居住安定確保計画では、高齢者向け賃貸住宅と老人ホームの供給目標をそれぞれ定めることになっておりますので、御質問の高齢者向け賃貸住宅の供給目標につきましては、今後の介護や生活支援などが必要となる高齢者数を推計した上で、老人ホームの供給見込みなどを十分勘案しまして、供給目標を定めてまいりたいと考えております。  次に、高齢者向け賃貸住宅政策についてのお尋ねでございます。  まず、高齢者専用賃貸住宅の登録戸数についてでございますが、高齢者の居住の安定確保に関する法律の改正前は千二百九戸の登録がございました。昨年の法改正後は、新たに規模や設備についての登録基準が設けられますとともに、これまで登録していた賃貸住宅についても、改めて登録し直すことが必要となりましたので、現時点では登録し直した住宅と、その後、新規に登録した住宅を合わせまして七百六十七戸にとどまっております。  続きまして、国が名古屋市内で行った高齢者専用賃貸住宅に関する助成制度の説明会についてのお尋ねでございますが、出席人数は三百十四名、この助成制度に応募した事業者数は十八事業者でございました。  次に、本県において、市街化調整区域内で開発許可された適合高齢者専用賃貸住宅の件数が何件あるかとのお尋ねでございます。  本県としましては、国の運用指針の改正を受けまして、愛知県開発審査会基準を改正しまして、本年四月一日より運用を開始しているところでございます。今までのところ、相談や問い合わせにつきましては数件ございましたけれども、許可申請に至った事例はございません。  最後に、高齢者専用賃貸住宅を核とした良質な高齢者向け住宅の供給をどのように促進していくのかについてお答え申し上げます。  今後、良質な高齢者向け賃貸住宅の供給を促進するため、まずは、高齢者専用賃貸住宅や高齢者の入居を拒まない住宅であります高齢者円滑入居賃貸住宅、これらの登録戸数を増加させていくことが重要であると考えております。  このため、不動産関係団体等と連携し、高齢者専用賃貸住宅などに関する制度についての説明会を実施するなど、民間事業者の方々に対して積極的に登録を呼びかけてまいります。  また、高齢者専用賃貸住宅の中でも、従来から、県では、ハード面に関して、規模や設備が一定の条件を満たし、バリアフリー化がなされた住宅については、高齢者向け優良賃貸住宅として整備費の一部を助成しております。  さらに、生活支援サービス等ソフト面について配慮された住宅につきましては、御質問にありましたように、今年度新たに国が直接助成する制度が創設されましたことから、こうした助成制度についても、事業者の方々に対して説明会を開催するなど情報提供を行いまして、その活用を呼びかけてまいります。  一方、県民の皆様に対しましては、このような高齢者向け賃貸住宅の内容を広く情報提供していくということが重要であることから、登録された住宅の家賃、生活支援サービスの内容などにつきまして、県や市町村のホームページなどで情報提供を行うとともに、県内の不動産事業者の方々に対しても、積極的にこうした住宅の情報を提供していただけるよう働きかけてまいりたいと考えております。  以上でございます。 23: ◯警察本部長(河邉有二君) 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の営業所設置に関してお答えいたします。  初めに、条例で定める百メートル規制についてお答えいたします。  当県の条例で定めております風俗営業の営業制限地域については、議員お示しのとおり、保護対象施設の周囲から最大百メートルと定めております。  これは、条例により営業制限地域を指定する場合の基準を保護対象施設の周囲おおむね百メートルの区域を限度とし、かつ良好な風俗環境を保全するための最小限度のものとすることと定めている風営法の委任を受けた風営法施行令の規定に基づくものであります。  すなわち、当県の条例の定める保護対象施設の周囲から百メートルを営業制限地域とするという距離規制は、風営法施行令が定める基準の上限となっており、これを拡大することは困難であると解しております。  次に、風俗営業所に係る駐車場等の付随施設の判断についてお答えいたします。  パチンコ店の駐車場等の付随施設が営業所に含まれるか否かは、警察庁が示す風営法等の解釈運用基準に基づき、その駐車場等の付随施設の利用実態が社会通念上パチンコ営業の用に供する建物と一体と見られ、専ら当該営業の用に供される施設であるか否かにより判断することとなります。  パチンコ店を含む複合施設の駐車場等の付随施設で、パチンコ店以外の施設の集客能力が高い場合には、現行法の解釈としては、パチンコ店と一体とみられ、専ら当該営業の用に供される施設とは解されないことになると考えております。  続いて、保護対象施設に通学路を加えることができないかについてお答えいたします。  通学路については、風営法が保護する保護対象施設、またはその施設に該当しないことから条例で定めることはできないものと考えております。  次に、学校の規定をもう少し広くとらえることができないかについてお答えいたします。  保護対象施設は、条例で学校教育法第一条に規定する学校、保育所、病院、有床診療所を規定しており、いわゆる学校に該当しない施設であるフリースクールについては対象となっておりません。保護対象施設は、風営法施行令に定められた範囲内で、条例により地域の風俗情勢等を踏まえ定めることとされており、条例改正により追加することは可能であります。  現在、良好な風俗環境を保全する上で、保護対象施設として追加する必要がある施設は把握しておりませんが、引き続き保護対象施設の追加の必要性の有無も含め、風俗環境の実態把握に努めてまいりたいと考えております。  次に、許可後のパチンコ店の拡張の制限についてお答えいたします。  風営法では、法の目的を達成させるため必要があると認める場合は、必要な限度において条件を付することができることとなっております。パチンコ店の営業所が保護対象施設に近接するなど、営業制限地域に近接して許可を受ける場合には、解釈運用基準で示されているとおり、保護対象施設等を特定した上で、当該営業制限地域内に営業所の拡張を行ってはならないなどの条件を付することができることとなっております。  また、これらの条件に違反した場合には、行政処分等により厳正に対処してまいりたいと考えております。  以上であります。 24: ◯産業労働部長木村聡君) 私からは、イベント・コンベンションなどMICEの誘致に関する御質問に対し、お答え申し上げます。  最初に、これまでの取り組みと現状についてでございます。  本県は、これまで愛知万博の経験を生かし、名古屋市、地元経済界等との連携のもとで、第四回日中韓観光大臣会合やCOP10といった大規模な国際会議の誘致に取り組んでまいりました。また、こうした国際会議に加えまして、国内外からの交流人口の拡大を図りますために、本年三月に策定いたしました観光振興基本計画に基づきまして、企業等が行う会議や学会、報奨・研修旅行など、いわゆるMICE全般を誘致することといたしまして、主催団体への働きかけや情報収集等の取り組みを推進してきているところでございます。  次に、産業分野のターゲットと、具体的な数値目標についてでございます。  ターゲットにつきましては、既に開催が決定している二〇一二年の国際航空宇宙展など、本県の産業の強みを生かす分野や、愛知万博の理念を引き継ぐ環境分野など、今後の本県経済の発展の契機となるイベント・コンベンションを誘致したいと考えております。  また、具体的な数値目標といたしましては、政策指針二〇一〇─二〇一五におきまして、二〇〇八年に年間十六件でありました国際会議を、二〇一五年には二十件とする目標を掲げているところでありまして、引き続きこの目標の達成を目指してまいりたいと考えております。  最後に、今後の戦略についてでございます。  観光振興基本計画に盛り込みましたMICE誘致の基本方針につきましては、現在策定中の産業労働計画におきまして、今後五年間の具体的な施策を取りまとめた上で、地域の自治体や経済界とともに必要な取り組みをしっかり推進していきたいと考えております。  私からは以上でございます。 25: ◯五番(安藤まさひこ君) それぞれ御答弁をいただきましてありがとうございました。  最後に、一つ要望をさせていただきます。  これは県政全般に言えることですが、現在の法や条例といったものは、必ずしも今の時代に合ったものばかりではないと思います。それぞれがその時代の背景に合わせてつくられており、何十年も前につくられたものもあります。  現代のように、社会の変化のスピードが速い時代では、行政もその変化についていくというよりは、先導していく必要があり、ゆっくり考えてから動き出していては、そのときはもう社会は先に進んでいってしまっています。  動きながら考えなくてはいけない時代だと思います。ですから、常にアンテナを広げて情報を収集し、軽いフットワークと時代を先導した感覚で県政に取り組んでいただくことを要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。 26: ◯副議長(奥村悠二君) 進行いたします。  小島丈幸議員。     〔六十二番小島丈幸君登壇〕(拍手) 27: ◯六十二番(小島丈幸君) 私からは、若年者の雇用対策について、順次質問をしてまいります。  私ども公明党は、現在の日本の置かれたグローバリゼーションと不況のはざまで生み出される不安定な雇用と格差、うつ病、DV、児童虐待、不登校など、病んだ心が人生を脅かす深刻な時代、また、増加する独居老人の孤独死など、これまでの社会制度では想定し得なかった課題が増加しております。このような生きること自体を脅かす新たなリスクへの対応が今求められております。  そこで、この新しいリスクへの対応するものとして、新しい福祉という概念を提唱しております。  今回は、安定した雇用を保障する第一歩として、新規学卒者への対策と、ひきこもりという現代社会がつくり出したであろう人たちの対策について、順次質問をしてまいります。  最初に、新規学卒者についてであります。  就職氷河期という言葉は何度も耳にしますが、ことしはまた一段と厳しい状況が増していることが連日の報道で理解はしております。就職活動、いわゆる就活は、最近の就職氷河期と相まって厳しいというのが通説で、最近では、その厳しさからいろいろな社会における事象も起こってきております。ことしは就活が厳しそうだからと自主留年をしたり、自分たちの力の問題ではなく、時期と運が悪過ぎると嘆く学生がいたり、悲喜こもごもであります。  ここでは、まず、大学生の就職について伺います。  以前は、企業と学校の間で、学業の妨げにならないよう、一定の時期まで企業から卒業見込み者に対するアプローチは行わないという就職協定がありましたが、最近では、その協定がなくなり、就活は早期化、長期化する傾向にあります。事務系では、大学三年生の春から就活を開始することが多いと言われております。考えてみれば、内定が出なければ、ほとんど二年間就活に明け暮れる日々となるわけであり、企業がとりたいと思われる学業優秀な学生には、就活ばかりやっていては、その優秀な学生には到底なれないわけで、大学教育の一番大切な部分である専門教育をないがしろにするような構造となっており、大学側からは批判の声をよく耳にします。  企業側にとっては、新規学卒者をこれまで優遇してきたのは、採用の容易さであったり、企業への忠誠心、ピラミッド型組織の維持による指揮、命令系統の円滑な運用といったメリットがあり、卒業年度を区切った採用は、企業にとっての社員教育訓練へのコストの縮減が可能であるということが挙げられております。  ただし、十二年前にもあった就職氷河期に企業に就職ができなかった学生がいまだに多く存在し、貧富の差の拡大に拍車をかける事態を招いているのも現実であります。この就職氷河期において、また同じ轍を踏まないためにも何らかの方策が必要と考えます。  こうした状況の中、大学生は、この就職氷河期における就活を今戦っているわけでありますが、そうした学生を支援する愛知県としてどのような方策を考えていくのか、こうした視点に立ち、以下質問をしてまいります。  まず、今年度の大学生の就職活動に対してどのように考えておられるのか伺います。また、私大、国公立を含めて、学生に対する情報の提供についてどのような方策をとられているのか伺います。  さらに、他の都道府県に行っている愛知県出身の大学生について、地元の就職の情報がなかなか入手できないのではないかと思いますが、その点、どのような方策を現在行っているのか伺います。  次に、大学との連携について伺います。  内定等の数値については推計が多く、具体的にどのぐらいの学生が内定になっているのかはよくわからないのが現状と思いますが、その点について、大学との情報の共有が必要であり、そのもとで次の方策を考えていくことが必要と考えますが、現在、大学との連携はどのようになっているのか伺います。  昨年も、就活について愛知県としてさまざまな支援を行ったと思いますが、その結果を踏まえ、今年度の取り組みについて最後に伺っておきます。  二つ目は、高校生の就職についてであります。  ことしの三月に卒業した県立高校生徒の就職の状況については、教育委員会から資料をいただきました。それによると就職希望者数六千九百二十四人中六千五百九十二人が就職をし、三百三十二人が就職未決定者となったということであります。その前年が百五十五人であったということから、就職氷河期ということもあって厳しい数字になったものと思われますが、私も昨年は文教委員会に所属をしておりまして、今までになく大変な状況であり、昨年度の状況は、今までのように企業からの採用情報や、その高校の近辺の企業からある一定の採用枠をいただけるような状態ではなく、何らかの方策も必要ということがあり、高等学校の就職担当者を一堂に集めた説明会や、その際にハローワーク担当者との連携が生まれるような手だてを行っていくという、今までにない方策をとるという回答をいただきました。  しかしながら、結果として三百三十二人が就職できなかったということは残念で仕方ありません。その人たちが今どのように暮らしているのか気がかりであります。そうした人たちを生まないためにも、今年度、高校生の就職を担当する方たちの奮起を期待いたします。  ことし三月、そうした就職ができなかった高校生にお会いをいたしましたが、これからどうするのか親とともに途方に暮れていることを知りました。卒業した高校からは、未就職の卒業者のための支援策について連絡があり、その一つの職業訓練を受けることを決意してくれましたが、受講しようとした際、人数の枠で応募者が少ないため開校しない旨の通知があり、やむなく近くの介護をしている現場にアルバイトで勤めることになりました。不安定なゆえなのか、その後、その施設もやめてしまい、現在に至っているようであります。  新聞の報道によれば、高卒未就職者向けの無料職業訓練を設けたが、定員三百五十人に対し、応募は三十人しかいなかったということであります。この無料の訓練は、講師のもと勉強するということで座学が多く、卒業してからも授業かといったことで敬遠する向きもあるかとは思いますが、もっと啓発することが必要ではなかったのかと思われて仕方ありません。
     この人たちがニートやひきこもりになっていってしまっては元も子もないと感じます。何らかの手は打てなかったのか残念であります。  そこで、教育委員会に質問であります。  昨年度も実施をした高校生の就職に対する取り組みについて、本年度、昨年度の反省を含め、どのように行っていくのか伺います。  また、高卒未就職者の人たちに対する今後の取り組みについて、卒業したから知りませんではなく、個人情報の保護の観点からは厳しいとは思いますが、何らかの方策を考えられないのか伺っておきます。  次に、ひきこもりの若者について伺います。  ひきこもりの定義とは、厚生労働省が五月に発表したガイドラインでは、社会参加を回避し、六カ月以上にわたって家庭にとどまり続けている状態。他者と交わらない形で外出するケースを含む。例えば、夜、コンビニに行く程度の外出は含むということでありました。厚生労働省の調査では、全国二十六万世帯でひきこもり状態の人がいると推計をしております。  一方、内閣府の調査では、十五歳から三十九歳のうち、ふだん自宅に閉じこもっているが、自分の趣味に関することなど限定的に外出するという準ひきこもりの方を含めると推計で六十九万六千人いるという結果も発表されております。  この内閣府の調査に参加した心理学者は、現代社会は人間関係をうまく構築できなかったり、きちんと言葉で意思表示できないと放逐されかねない傾向にあり、ひきこもり化する若者には生きにくい社会になっていると分析をしております。  私の所属する健康福祉委員会での講演で、七月に横浜市にあるNPO法人コロンブスアカデミーという団体の渡辺さんのお話を伺いました。テーマは、「ひきこもりを初めとする社会に生きづらさを抱える若者への支援」というタイトルでの講演で、ひきこもりに対する公的機関とNPOとの連携での支援を横浜市を中心に行っている活動の内容でありました。  終了後の質疑応答の中に、ひきこもりの現状について伺ったところ、昔は、親への反抗とか、社会への反抗などであったため、しつけなどでいい方向に転化できたが、今は反社会的ではなく、非社会的に自分に向かっていって、体制に対する反発も、自分の将来にわたっての希望もない。向かうのは落胆だったり、自虐に向かう。この経済が悪い時代に、どんなことでもやって生きていく人たちがいる一方で、そういうことさえ希望が持てない若者がどんどんふえてしまっているということでありました。  そのひきこもりに対する対処の仕方の一つとして、このNPO法人では、ひきこもりの若者を共同生活させることによって、そういう人たちの中で互いに認め合っていくことを通じて、社会復帰を目指すという活動を行っているということでありました。  果たして実態はどうなのか。先日、横浜にある同NPO法人に現地調査に出かけてまいりました。  まず、行ったのがよこはま南部ユースプラザで、ここは、働くことや自立に悩む若者と家族のための総合相談窓口で、ひきこもりの若者たちの居場所と相談活動を行っているところであります。  こうしたところに訪れるきっかけとなるのは、両親が子供のことを心配して、横浜市の広報等でこうした場所を知り、親子ともども訪れるケースが半分と、本人がみずからに対して疑問を感じたのか、インターネットでこうした場所を見つけて、一人でふらっとやってくるケースが半数ということだそうであります。男女の割合でいうと、七割が男性だそうであります。  こうした居場所、相談活動を通じて、さまざまなプログラムを用意して、一人一人違うケースに対応でき得る体制を完備しているとのことでありました。  また、こうした相談活動を経て、自立に向かうための訓練の一つとして、共同生活を通して基本的な社会習慣などを身につける塾に移行していき、さまざまな就労体験をこのNPO独自で事業として行っているとのことでありました。  その一つとして、このNPOがやっているユニークな事業を見させていただきました。それは、横浜の市立のみなと総合高校の学食をこのNPOが引き受けて、塾生を働かせるもので、アロハキッチンと銘打ち、色とりどりのアロハシャツを着た塾生が働いておりました。  キャベツをただ一心に刻む人、まないたがないと言って探し回る人、エプロンが上手につけられないと言って何度も結び直している人、活気は少しないようではありますが、ひたむきな姿がうかがえて、妙にすがすがしい気分を味わわせていただきました。  そこのマネジャーは女性で、全員男性の塾生に対して、一人一人の行動を見守っておりました。そのマネジャーいわく、社会人になることの厳しさも教えながら、一人一人の特性も見きわめるよう努力しているということでありました。また、この子たちは、小さいときにいじめや不登校といった心に傷を負って、ここに入ってきた人たちも多く、そのことを忘れずに、この子たちがいずれは就職し、結婚し、子育てして、一人前になることを夢見て対処しているということでありました。  このアロハキッチンは、学食の業務だけではなく、市内六カ所でにこまる食堂という昼食二百五十円、お昼だけのこの食堂に食材を提供もしており、このにこまる食堂でも塾生が販売を受け持ち、年会費千円を払ってくれた人に二百五十円で、それ以外は三百円での食事の提供を行っております。なぜ昼だけの営業かと質問したところ、夜は普通の居酒屋で、その居酒屋のオーナーに昼のあいた時間を社会貢献の一つとして場所の提供をしていただいているということでありました。  さまざまな仕掛けを行いつつ、社会復帰に向けた取り組みをするこの団体に敬意を表するものであります。  この団体の方に聞いてみると、最近、たくさんの方から手広くやっているねと言われることがあるそうですが、手広くやろうとしたわけではなく、やっている間にどんどん問題が大きくなってくるし、自分たちの現場でできることをやってきたらこうなったということでありました。こうしたNPO法人が愛知県にも欲しいと感じました。  ひきこもり対策への国の法律は、やっと本年四月に子ども・若者育成支援推進法が施行をされ、その法律にのっとり、子ども・若者ビジョンがことし七月に策定されました。その内容は、理念を示して、広報や啓発に努めるだけのもののようであります。そうではなく、地方公共団体に対してもっと具体的な内容を示してほしいものです。  また、ひきこもり対策に有効な手段と言われていた国の事業である三カ月間の合宿で生活就労支援を受ける若者自立塾は、事業仕分けの名のもとに、コストの割に効果が薄いということで廃止をされており、それにかわる事業が待たれるものであります。  この質問をするに当たって、こうしたひきこもりへの対応に関しては、やはり健康福祉部なのかと思いましたが、若者の就労に至るプロセスからは産業労働部であり、子ども・若者育成支援推進法の観点からは県民生活部になると思います。  それぞれに対して質問をいたしますが、責任の所在がわからなくなるといけないのと、縦割りの弊害になることが心配となりますので、それぞれ責任を担った回答をお願いいたします。  最初に、産業労働部にお伺いをいたします。  ひきこもり状態から脱却し、働こうとする意欲を取り戻し始めた方を就職へと結びつけるための支援として、どのような対策を実施されているのか伺います。  こうした脱却期にある若者が後退することのないよう継続的に支援していくために、身近で利用しやすい相談窓口の充実が強く求められていると考えますが、県としてのお考えを伺います。  次に、県民生活部に伺います。  本年四月に施行された子ども・若者育成支援推進法は、ひきこもり対策として何を目指そうとしているのか。また、県は、この法律を受けて、どのような対策を推進しようとしているのか伺います。  次に、健康福祉部に伺います。  まず、ひきこもりの実態について伺います。  内閣府では、全国で六十九万六千人ということが発表されておりましたが、愛知県内ではどのくらいの推計値となるのか伺います。  次に、先ほど長い事例で紹介をした横浜のNPO法人コロンブスアカデミーですが、ひきこもり対策はこのようなNPO法人との協働が最も効果があると考えられますが、現在、県内にこうしたひきこもりに関する事業を実施しているNPO法人はどの程度あるのか、また、これらのNPOとの協働をどのように考えておられるのか伺います。  もう一つの問題点は、こうしたひきこもりに至る人たちの中には、発達障害や精神的な疾患による方もいるということであります。また、義務教育期間中のいじめや不登校に起因するものも多く、先ほども言いましたが、心に傷を負った状態でひきこもりに至っているということから考えると、児童生徒でいる間に何らかの手だてが必要となることは言うまでもありません。  発達障害については、特別支援教育が既に実施をされ、その子の特性を見出す努力がなされているわけであります。しかしながら、ひきこもりを防ぐ観点からは、やはり小さいときから適切な支援を受けながら、心身の安定した成長を図ることが必要であります。  幼児期、小中学校の時代から、このニーズに応じた適切な支援をしていけば、こうした発達障害などの障害は、普通に仕事をしていけるようになるということまで言われております。  前述したNPO法人でも、小さいときからの訓練で助かっていく人が多いのに、どうして少年期の大事な時期にそうした訓練をやってくれないのか。そうしたら、もっとひきこもりになる人たちが少なくなり、救われていくのにと話しておりました。  また、不登校にしても、いじめや家庭の問題など、さまざまな原因で学校に行かなくなる児童生徒が多く存在し、それが卒業後にひきこもりに至るケースも多くあり、義務教育課程での不登校について、何らかの手だては必要であると感じております。  県内の不登校の状況を見ると、毎年二千人ほどの生徒が学校に行かないで中学校を卒業していっております。その一人一人の状況は違うとは思いますが、一人一人に対応した方策は、不登校の問題がこれほど長く続いていることから、今までのノウハウを生かして対処していくことが肝要であると考えます。  そこで、教育委員会に質問をいたします。  まず、いじめなどさまざまな原因による不登校に対する先生の研修会の実施や事例研究など、どのような形で行っているのか伺います。  また、不登校を減らすために学校は何をなすべきかについて、教育委員会としてのお考えを伺います。  また、発達障害について伺っておきます。  県は、特別支援教育を今まで実施してきておりますが、特別支援学校と違って専門性が不足している小中学校でのこうした取り組みは、現在どのように推移をしているのか伺います。中学校を卒業したら知らないではなく、こうした不登校、発達障害などの子供たちのその後について、学校として知り得る手だてはないのか、これからの教育のためにも必要と考えますが、所見を伺います。  最後になりますが、これまでひきこもりに関する問題をいろいろな側面から質問してまいりました。この対策につきましては、産業労働部や県民生活部、健康福祉部、教育委員会など多くの部局が関係しております。それぞれの所管の対策を積極的に進めていただくことが望まれますが、あわせて、今までの縦割り行政では困難な問題であると考えますが、所見を伺います。  私からは、公明党の新しい福祉の視点から質問をしてまいりました。私どもの考えをよく御理解の上、答弁いただきますようよろしくお願いをいたします。  以上でございます。(拍手) 28: ◯産業労働部労政担当局長(志治孝利君) 若年者の雇用対策について、新規学卒者対策とひきこもりの若者への対策に関し、御質問いただきました。  私から、まず、新規大卒者の対策について、四点お答えいたします。  一点目は、今年度の大学生の就職活動についてでございます。  ことし春の新卒者の就職率は、本県が調査を開始した平成六年度以降、最大の下げ幅を記録する大変厳しい結果となりました。来春の新卒者の就職環境は、八月末現在の求人数が、厳しかった今春に比べさらに減少しており、また、正式な内定がスタートする十月一日を迎え、内々定が得られた学生数も伸び悩んでいるとのことで、大変深刻な状況になっていると認識しております。  県としましては、大学生の就職活動への支援に全力を尽くしてまいりたいと考えております。  二点目は、大学生に対する情報提供についてでございます。  名古屋市の中区の中日ビルにございます若年者の就職支援のワンストップサービス機関、ヤング・ジョブ・あいちにおきまして、新卒の求人情報に合わせ、就職面接会や就活セミナーなどの情報を提供するとともに、各大学の就職課などを通じた情報提供の拡充にも努めているところでございます。  県外の大学に行っている本県出身の学生につきましては、国が整備している全国の新卒求人情報システムの利用を周知するとともに、県外の大学と連携して、学内で本県企業の説明会を開催してきております。  三点目は、大学との連携についてでございます。  大学生の就職支援は、まずは大学当局が中心になって行われるものであり、行政としては、これまで年度当初に大学の就職担当者の連絡会議を開催しまして、本県などが実施する就職面接会や説明会の取り組みを周知してまいりました。しかしながら、今春の厳しい結果を踏まえ、大学との連携を深める取り組みを進めておるところでございます。  具体的には、県内の大学、短大五十六校の就職担当者で組織します愛知県学生就職連絡協議会と交流を深める中、今月九日に開催されたこの協議会の研修会に私も出席し、大学生の就職支援における大学と行政の役割分担をテーマにパネルディスカッションなどを実施いたしました。未就職のまま卒業し、行政の支援を受けて就職した元学生もパネラーに加え、当事者の生の声を聞くなど、中身の濃い議論ができたと思っております。  大学生の就職について、最後の四点目、今年度の県の取り組みについてでございます。  今年度は、合同企業説明会などの回数をふやすとともに、企業の人事担当者が大学を巡回して、自社の説明、アピールを学生にじかに行う大学等巡回企業説明会、これを今年度初めて、今月十六日、二十四日の二日間開催いたしました。延べ四十一の企業が大学など六校を訪問し、四百人を超える学生の参加がございました。  今後とも、大学との連携を深め、一人でも多くの学生が就職できるようしっかり取り組んでまいります。  次に、ひきこもりの若者に関する御質問のうち、就労支援についてお答えいたします。  若者の就職支援を行うヤング・ジョブ・あいちでは、ニート、フリーターの増加などを受けまして、臨床心理士やキャリアコンサルタントの資格を有する職員三名を配置しまして、ひきこもり状態から一歩外に足を踏み出して、働きたいとの意欲を示す若者本人や、その家族の方々の相談に応じてきております。  平成二十一年度には、前年の四倍を超える約二千三百人の若者本人から相談があり、その半数近くが精神的悩みについての相談でございました。  しかしながら、直前までひきこもり状態であった若者の中には、名古屋まで出てこられない方もおられることから、平成二十年度から県内各地で実施します就職支援セミナーや面接会などの開催に合わせ、臨時の相談の場を設けてまいりました。  そうした中で、同じ相談員から継続的、定期的な支援を受けられる場を身近なところに設けてほしいとの要望が出されまして、ことし七月から豊田市、一宮市、豊川市など県内九市に、地元市と協力して、若年者向けの就職相談窓口を月一回から二回開設しているところでございます。  今後とも、県内市町村と連携したこうした取り組みを充実強化してまいりたいと考えております。  以上でございます。 29: ◯教育長(今井秀明君) 新規学卒者についてのお尋ねのうち、まず、高校生の就職に対する取り組みについてお答えをいたします。  昨年度は、新規高卒者の求人数が半減するという厳しい雇用情勢を踏まえ、各学校では、一人でも多くの生徒の就職が内定するよう日々努力を重ね、教育委員会といたしましても、関係諸機関との連携を深めながら、これを支援してまいりました。  具体的には、産業労働部や愛知労働局との連携を強化し、主要経済団体への雇用確保の要請を三度にわたって行うとともに、秋以降の就職未内定者を対象とする面接会の開催回数や開催場所をふやしたり、ハローワークとの連携を深めるために、就職担当教員の研修会を開催することなどに努めてまいりました。  その結果、今春の県立高等学校の就職内定率は、工業高校や水産高校ではほぼ一〇〇%でありまして、企業とのつながりが比較的薄い普通科では、専門学科に比べて低い状況があったため、全体では九五・二%となりましたが、全国平均より約四ポイント上回る結果でありました。  本年度も非常に厳しい雇用情勢が予想されましたので、昨年十一月に急遽開催しました就職担当教員に対する研修会をことしは四月に前倒しして開催し、学校がハローワークと早い段階からより密接に連携できるようにしたところでございます。  さらに、来春卒業予定者を対象とするミニ面接会を昨年四地域で開催したものを大幅に拡充して、十地域程度で実施することといたしております。あわせて、未就職の卒業生を対象とした面接会の実施や、職業訓練等の情報を早目に周知するなどのさまざまな対応をしてまいります。  教育委員会といたしましても、県内十四地域に配置しております就職支援事務嘱託員による求人開拓を進めるとともに、各学校において、校長の指導のもと、教頭や進路指導主事などが自分の学校の卒業生が働いている事業所や近隣企業へ求人開拓に出かけるよう指導するなど、一人でも多くの生徒の希望が実現できるよう努めてまいりたいと考えております。  次に、未就職のまま卒業した生徒への対応についてでございます。  高等学校では、これまでも未就職卒業生に対して、進路指導担当や旧担任が中心となって継続的な支援を行っております。今春の卒業生については、産業労働部が実施しております未就職の卒業生向けの職業訓練や職場実習を伴う研修事業等により多くの未就職卒業生が参加できるよう、学校を通じて働きかけてきたところであります。  また、本年四月には、今春の未就職の卒業生に対して、ハローワークから就職支援を直接受けられるよう、支援を希望する卒業生の名簿を本人了解の上で、高校を通してハローワークに提出したところでございます。  このようなこともあり、議員お示しの三百三十二名の未就職卒業生がおりましたが、この六月末の調査では、そのうち約四分の一の卒業生の就職先等の進路が決定いたしております。  教育委員会といたしましても、昨今の厳しい雇用情勢を踏まえ、未就職卒業生の進路状況を継続的に確認するとともに、学校に対しまして、就職活動に関する情報提供や助言を行うなど、既に卒業した生徒も含めて、一人でも多くの生徒の就職が内定するよう努力を重ねてまいりたいと考えております。  次に、ひきこもりの若者についてのお尋ねのうち、まず、不登校児童生徒に対する取り組みについてお答えをいたします。  児童生徒が不登校となるきっかけはさまざまでありまして、基本的生活習慣の乱れや無気力などの本人にかかわる問題、学校生活での友人関係をめぐる問題や、学業不振の問題、家庭での親子関係をめぐる問題などの原因があり、不登校児童生徒一人一人がそれぞれ悩みを抱えております。  県教育委員会といたしましては、従前より学識経験者や小中学校関係者等で構成する愛知県生徒指導推進協議会におきまして、不登校の未然防止に向けた取り組みについて研究協議を進めておりまして、その成果をホームページなどで小中学校へ情報発信することで、不登校問題を解決するための具体的な方策を示しているところでございます。  さらに、不登校児童生徒へのきめ細かな支援に有効でありますスクールカウンセラーを本年度は小学校七十校から百四十四校に拡大し、中学校の全校配置とともに教育相談の充実を図っております。  お尋ねの研修会や事例研究につきましては、県内小中学校の不登校など、生徒指導にかかわる教員を対象とした研修会を毎年開催し、具体的な支援のあり方や学級経営、関係機関との連携の進め方などの研修を進めているところでございます。  あわせて、スクールカウンセラーと教員が参加する連絡協議会を県内を六地区に分けて開催し、情報交換や事例研究を行っております。  また、すべての小中学校では、教職員やスクールカウンセラー等で構成するいじめ・不登校対策委員会を設置しており、不登校児童生徒一人一人への対応について協議したり、状況に応じた支援のあり方を事例検討したりして、教職員が一体となり、不登校対策に取り組んでおります。  いずれにいたしましても、不登校の問題は生徒指導上の重要課題でありまして、各小中学校では、この問題の解決に向けて、早期発見、早期対応に心がけ、組織的、継続的に取り組んでいかなければならないものであります。  今後も、引き続き不登校はどの子にも起こり得るものであるという認識のもと、児童生徒の状況を十分に把握するとともに、研修会を通じて教員の力量向上に努めてまいりたいと考えております。  次に、発達障害に関して、小中学校における特別支援教育に関する専門性の向上の取り組みについてお答えをいたします。  平成十六年度に、文部科学省より小中学校におけるLD、ADHD、高機能自閉症の児童生徒への教育支援体制の整備のためのガイドラインが示され、通常の学級に在籍する発達障害を含めた障害のある児童生徒に対しても適切な支援を行うことが示されました。  これを受けて、本県では、平成十七年度より愛知県特別支援教育体制推進事業を実施し、発達障害を含む障害のある幼児、児童生徒に対する教育的支援を行うための体制整備に努めております。  その柱の一つに、小中学校の教員の専門性の向上を図る研修の実施があります。管理職及び特別支援教育コーディネーターを対象とする研修については、平成十七年度より毎年、全小中学校の約二分の一を対象として実施しており、研修の内容も、当初は講義形式中心であったものから、現在では事例発表や研究協議などの実践的な内容を行っております。  平成十八年度からは、一般の教員を対象とした発達障害児の理解を図る基礎研修も毎年六百五十名を対象に継続して実施いたしております。  また、特別支援学校の教員による小中学校への巡回指導を平成十七年度より開始し、発達障害のある児童生徒の理解や支援の方法等について、各小中学校で研修を行ってきました。  さらに、平成二十年度からは、それを事例研究会として発展させ、より具体的な支援ができるよう専門性を高めてまいりました。  一方、こうした研修支援だけではなく、市町村をモデル地区に指定し、市町村単位での特別支援教育のレベルアップを目指すよう総合的な推進を図ってまいりました。  今後とも、各小中学校がさらに専門性を高め、発達障害のある児童生徒に対する支援の充実が図られるよう、県といたしましても、特別支援教育体制の一層の推進に努めてまいりたいと考えております。
     次に、不登校や発達障害等の生徒の卒業後の対応についてお答えをいたします。  まず、不登校生徒の卒業後の状況把握についてでございますが、進学も就職もしていない不登校生徒は、本年三月に卒業した中学校三年生のうち約一%でございます。  中学校では、卒業直前まで不登校生徒の状況や希望に応じて、上級学校や職業に関する情報を提供し、本人や保護者と進路相談を重ねております。卒業後につきましては、不登校生徒や、その保護者からの進学や就職の相談に乗ったり、地域の相談窓口を紹介したりしております。  また、児童委員など地域の方々との連絡会等において、卒業した不登校生徒についての情報を得たりしております。  また、発達障害のある生徒につきましては、中学校を卒業した後も、次の進学先に個々の生徒の特性や、その子に合う適切な支援方法等が確実に引き継がれるよう、それらの情報を記載した個別の教育支援計画、これを作成し、その活用が年々進んでおります。  こうした情報の共有化により、中学校から進学先の学校へ円滑に移行できるようにしていくことが大切であると考えております。  引き続き、地域における関係機関や進学先との連携を図り、不登校生徒や発達障害の生徒が卒業後も希望を持った気持ちで生活できるように、県教育委員会といたしましては、市町村教育委員会を初め、各学校への働きかけに努めてまいります。  以上でございます。 30: ◯県民生活部長(大久保裕司君) 子ども・若者育成支援推進法に関するお尋ねについてお答え申し上げます。  今日、ひきこもり、ニート、不登校など社会生活を円滑に営むことが困難である子供、若者の問題が深刻な状況にございます。  これまでも、こうした子供、若者に対して、雇用や教育、福祉等の各機関がそれぞれ支援を行ってきておりますが、全体を調整する機関や機能がないため、これらを組み合わせて実効性のある支援を提供することが困難であること、また、児童相談所や学校などには年齢的な支援の限界があるため、支援機関がかわるときの連携がうまくいっていないことなどの課題が指摘されております。  子ども・若者育成支援推進法は、こうした課題を解決し、困難を有する子供、若者が社会生活を円滑に営むことができるようにするため、教育、福祉、保健、医療、矯正、更生保護、雇用といった分野の行政機関や、先駆性、柔軟性を有するNPOなどの民間団体により構成される子ども・若者支援地域協議会を地方公共団体が設置しまして、それぞれの機関が専門性を生かし、連携して発達段階や生活環境などに応じた総合的な支援を行うことを目的とした法律でございます。  この地域協議会は、住民に身近な市町村が設置、運営することが基本であると考えておりますが、市町村により地域ニーズや規模が異なり、また、地域協議会を構成する行政機関の管轄区域やNPOなどの活動状況もさまざまであります。さらに、行政機関やNPOなどの民間団体の間で、ひきこもりというデリケートな個人情報をどのようにやりとりするべきかといったような課題もございます。  そこで、県では、このような地域協議会が共通して抱える課題について、関係行政機関やNPO、有識者で構成されます検討会議を設け、調査、検討を行っているところでございます。  今年度末までには、その成果を手引書に取りまとめ、市町村初め関係機関に提供することにより、地域協議会の設置を促進し、その活動を支援してまいります。  なお、今年度、豊橋市、春日井市、蒲郡市において、地域協議会の設置に向けた具体的な動きがありますが、地域協議会につきましては、県がこの三月に策定しました子ども・若者育成計画二〇一〇におきまして、数値目標を掲げております。平成二十六年度末には、本県の子供、若者の七〇%が地域協議会を利用できる体制となることを目指しておるところでございます。  以上でございます。 31: ◯健康福祉部健康担当局長(五十里明君) ひきこもりの若者についての御質問に私からもお答えいたします。  まず、ひきこもりの若者の推計値についてでございます。  内閣府の調査は、全国の十五歳から三十九歳の者から五千名を無作為抽出いたしまして、アンケート調査をしたものでございます。この調査をもとに全国で六十九万六千名と推計されたものでございまして、本県の十五歳から三十九歳までの人口に当てはめますと、ひきこもりの若者は四万二千九百名と推計されます。  次に、ひきこもりに関する事業を実施しているNPO法人についてのお尋ねであります。  ひきこもりの状態の若者への支援につきましては、ひきこもりの家族を持たれた経験のある方や、ひきこもりへの支援に情熱が高い方など、当事者や家族の気持ちを十分に理解しながら、柔軟に対応することが可能なNPO法人などの民間団体との協働が非常に重要であると認識しております。  こうしたひきこもりに関する事業を実施していただいている団体につきましては、現在のところ、県内で五十二団体を把握しており、近年、増加傾向にございます。  その活動内容は、電話や面接、訪問による相談、ひきこもりの方の日中の居場所の設置、就労の場の提供など、団体によってさまざまでございまして、それぞれの地域のニーズに合わせた活動を行っていただいているところでございます。  本県におきましては、従来から支援団体同士の情報交換や行政との連携を図るためのひきこもり支援関係団体連絡会議を開催いたしますとともに、今年度からは、新たにひきこもり支援者研修会を実施し、相談技術の向上や先進事例の紹介など、活動内容の充実に向けた支援にも努めてまいります。  このように、今後もNPO法人を含めた民間支援団体の育成支援に努めますとともに、こうした団体との協働をしっかりと進めていきたいと考えております。 32: ◯知事神田真秋君) ひきこもり対策は、縦割りではなく、総合調整が必要だということは仰せのとおりであります。  県では、健康福祉部にこころの健康推進室を設置して、その役割を果たしておりますけれども、昨年度、ひきこもり支援推進会議という会議を立ち上げまして、NPOやらさまざまな方にも加わっていただいております。これは、主に保健所が調整役を担うということで対応しているところでございます。  また、御質問にもありました、今後、市町村に設置されます子ども・若者支援地域協議会、これも大変重要な組織になると思いますので、連携をとってまいりたいと考えております。  以上です。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 33: ◯三十七番(大見正君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 34: ◯副議長(奥村悠二君) 大見正議員の動議のとおり決しまして、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 35: ◯副議長(奥村悠二君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。     午後三時休憩      ━━━━━━━━━━━━━━━━━     午後三時四十分開議 36: ◯議長日高昇君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  通告により質問を許可いたします。  筒井タカヤ議員。     〔百一番筒井タカヤ君登壇〕(拍手) 37: ◯百一番(筒井タカヤ君) 発言通告に従って、色覚検査について、人権侵害の疑念のある石原式色覚検査の全廃を求めてお尋ねしてまいります。  私たち昭和生まれの世代は、小中高校時代には保健体育の授業の中で、定期的に眼科の視力検査とともに、必ず色覚検査なるものを受けさせられました。自動車運転免許証の交付を初めて受ける際は、自動車学校において、また、平針の県運転免許試験場において、必ず色覚検査が義務づけられていました。  その色覚検査とは、石原式色覚検査表、すなわち淡い色の円の中に隠し絵のようになっている数字を読み取る検査のことであります。これは、眼科の権威でもあった東京大学教授の石原忍氏が、昔、軍隊の徴兵検査のために考案したものです。日本の軍隊では、少しでも色覚に異常、特性がある人を一般社会生活において何ら支障がないにもかかわらず排除するがごとき扱いで障害者として取り扱ってきた歴史があります。  戦後十年以上たった一九五八年、昭和三十三年に、学校保健法で石原式色覚検査をするようにと定めました。当時、なぜこの検査が必要不可欠なものであったのかという議論もなされることなく行われたのであります。  本来、こうした色覚検査は、実際の学生、生徒が授業を受ける上で支障があるかどうかが原点となるべきものであるはずです。また、石原式色覚検査で異常があった者が判明しても、授業を受けるのに何ら支障がないからと授業の改善は一切されることなく放置していたのが現実です。  まして、色覚異常と診断されたとしても、現在の医学でもってしても治療、改善ができないのです。視覚検査は、ほとんどが集団検診でありますので、友達からは、おまえは異常だ、犬猫と同じで白黒でしか見えないというような間違った指摘も受け、学校でも就職に際しても、また結婚においても差別を受けました。  この石原式色覚検査表なるものは、一般自然界においてはあり得ない特殊な色の組み合わせによって表されたものです。すなわち、特殊な色の組み合わせが見えにくい特徴を持つ先天性の赤緑色覚異常のある人には読めない配列でもってできている図表です。  この石原式色覚検査表が読めなくても、実際には、その人が日常生活の中で色彩を感じる能力が欠けるものではありません。その人の体質的なものや遺伝的なものが原因だということがわかる以外何物でもありません。  この石原式色覚検査は、高校の入学、大学の入学、医学部、薬学部、農獣医学部、農学部、工学部の入学の合否及び一般の民間企業の就職、教員、消防士、警察の採用の合否、船舶の免許及び自動車運転の免許の許可に至るすべての分野において行われていました。そして、この石原式色覚検査において異常とされた者は、学校の入学も不合格、就職も不合格とされていた時代もありました。  こうした暗い差別された時代はつい最近まで続いていました。しかし、今日、石原式色覚検査での指摘は決して一般社会生活において何ら支障があるものではなく、これは病気ではなく、人の個性なのだという正しい見方がされるようになりました。  そこで、以下お尋ねいたします。  一つ、現在まで愛知県において石原式色覚検査が行われてきた背景、だれの指示で、どのような法律に基づいて行われてきたかについての経過、そして、現在は、各分野においてどのように石原式色覚検査が行われなくなったのかについて明確に述べていただきたい。石原式色覚検査は、いつごろから、なぜ行われなくなったのか、その理由、経過について詳しくお話しください。  この件について、教員の採用試験及び公立高等学校の入試については県教育長、民間の企業の採用については労政担当局長、知事部局等職員の採用試験については人事担当局長、県立二大学(県立大学、県立芸術大学)の入試については県民生活部長、警察官の採用試験については警察本部長からそれぞれ答弁を求めます。  また、御答弁に際しましては、これら石原式色覚検査により異常があるとして、今まで県関係機関の入学、採用試験の不合格者として取り扱われた人がいるかどうか、率直にお話しください。  次に、私が調査したところ、日本じゅうで基本的人権の侵害のおそれがあるとして、あらゆる職域で石原式色覚検査が行われなくなった今の時代にあっても、警察と自衛隊、海上保安庁、入国審査官、皇宮警察、航空管制官はいまだに石原式色覚検査を実施していることを知り、正直驚いています。  警察を除けばすべてが国家公務員であります。ここでは、国家公務員についてはあえて国政において見直される議論が展開されるように私も国会議員に求めることとします。  二、愛知県の自治体警察である愛知県警がなぜ今もって石原式色覚検査の適性を警察官採用の基準としているのか、県警本部長に所見を求めます。警察庁が石原式色覚検査を行っているから愛知県警でも行っているというだけの理由でしょうか。  三、石原式色覚検査で異常と指摘されたら、警察官として不適切である理由を述べてください。警察捜査に支障があるという根拠とするならば、医学的に見て、こういう理由だからだめだという明確な規定があるはずです。それをお示しください。答弁を求めます。  四、警察官には、飲酒運転の取り締まりによる識別検査、薬物の取り締まり検査、死亡原因を突きとめる検査、死亡者の体の皮膚反応を調べる調査等々があり、石原式色覚検査が不可欠だともおっしゃっておられます。これらの職務が石原式色覚検査で異常と判断された人には一切できないのだという医学的に裏づけられた判断があるならお示しください。  警察庁及び警視庁、そして、愛知県警察本部は、警察官採用試験において、視力の検査だけではなく石原式色覚検査を義務づけています。その理由を採用係の担当者にお尋ねしても、なぜ警察だけがこだわっていまだに石原式色覚検査を行うのか、明確な回答ができないのが現状であります。  さらに、幾度も石原式色覚検査を行わなければいけない理由を求めると、声高に、それは警察任務の特殊性だからと主張するだけで、何らきちんとした医学的な理論に基づいた回答が一切できないのであります。  回答ができないこと自体がそもそもおかしいと思います。人間の生体のあらゆる検査を行い、医療手術、治療を行う医師ですら、今は石原式色覚検査を受けていない時代にあっても、警察官だけが色覚検査を受けなければならない理由があるなら、そのことを的確に示してください。警察本部長の答弁を求めます。  私があえてこの質問をさせていただくのは、石原式色覚検査からわかることは、端的に言えば、色覚遺伝そのものがはっきりと判明するということであり、その情報は基本的人権そのものであります。色覚異常だけを検査する方法は、今、他の方法でも幾らでもあります。だから、愛知県においては、警察官採用試験以外のすべての職種において基本的人権の侵害が問題となるため、あえて石原式色覚検査を行っていない、または行わなくなった理由でもあります。  それほどまでに医学的及び人権問題でもって採用されなくなった石原式色覚検査は、愛知県警察官採用試験においても行わないことのほうがより賢明な判断であると考えます。警察本部長、いかがお考えでしょうか。  以上のような理由で、愛知県警は、今後、石原式以外の色彩識別検査でもって行うことを前向きに検討していただきたい。率直なお答えを県警本部長に答弁を求めます。  このたびの石原式色覚検査の調査をする過程において、警察官の採用試験が二通りあることがわかりました。  一つは、愛知県警と警視庁の警察官採用試験が同時に受験ができる各自治体共同の試験です。二つは、愛知県警が行う警察官採用試験です。  そこで気がついたのは、石原式色覚検査を行うものの、自治体共同試験のうちの警視庁採用においては、特定の専門病院でしか検査ができない内容の石原式色覚検査国際版三十八表、すなわち三十八ページもの検査を必ず受けなければならないとしていることには、もうあいた口がふさがらないような驚き以外の何物でもありません。  日本を代表する色覚異常について取り組まれている高柳泰世医師が言うには、何をもってここまで石原式色覚検査国際版三十八表の色覚検査を行わなければいけないのか、警視庁そのものが全く意味すらわかっていないとしか考えられない。何でも国際版となるものなら最高だろうと内容も知らずに飛びついて、これが最高の権威あるものだと思い込んでいるだけですとはっきり述べていました。  私の今回の愛知県議会発言を基礎に、この件は近いうちに国会議員を通じて国会でさらに議論され、警視庁の警察官採用及び各県警本部の警察官採用方法も警察庁を通じて改善されるだろうと思っております。  そこで、もう一度、県警本部長にお尋ねいたします。  愛知県警察の採用試験においては、警視庁で行っている石原式色覚検査国際版三十八表をあえて行わない理由はなぜなのかお尋ねします。  石原式色覚検査表には八表、十二表、二十四表、そして、三十八表があります。愛知県警察が警視庁と異なる見解を示すのは、三十八表もの色覚検査は、警察の職務上において必要としないからあえて行わなくてもよいと考えるからでしょうか。答弁を求めます。  八、十二、二十四、三十八表とある中で、あえて何表と指定をしない愛知県警察は、とにかく他の警察でも行っているから石原式色覚検査をするのだというお考えのようにも見受けられます。昔から行っているからやっているでは正しい説明とは思えません。  もう一度言います。日本じゅうの一般企業ですら石原式色覚検査をしない時代において、なぜ警察だけが石原式色覚検査を義務づけるのかについて、きちんとした医学的説明をも含めた理由をこの場で説明してください。答弁を求めます。  日本の社会において、警察というところは、一般社会からかけ離れた感覚の人々の集団であるという人がおられますが、何だか私にもわかるような気がします。  かつて私は、平成七年十二月の愛知県議会において、高速道路を取り締まるパトカーや犯罪検挙に向かうパトカー等に、警察官の生命を守る安全のために、ハンドルに事故防止のエアバッグがなぜないのか、また、早急に取りつけるべきではないかと質問したことがあります。  当時の愛知県警察本部は、日本じゅうの各警察署において、パトカーにエアバッグは取りつけられていません。事故防止のために厳しい訓練で対応していますと平然と答弁されたことを生涯忘れません。  私は、愛知県警察本部は、職員の生命を守るために愛知県独自の予算で計上し、安全対策を講じることを求めたのです。そのときの回答は、自動車運転の高度な訓練で対応するから、今すぐに必要性はないという見解を示したもので、全くあきれ果てた思いがいたしました。  今では、ほとんどのパトカーにエアバッグが取りつけられるようになりました。さらに、雨天時の高速道路における違反車両の追跡は、スリップ事故等の可能性、危険性が高いから取り締まりをしておりませんでした。性能の高い一般車両には、これらスリップ事故を防止するABS装置があります。私は、この装置をつけたパトカーも求めました。これも今では改善され、高速道路取り締まりパトカーには取りつけられています。  こうした事例を見ても、警察は何事も進んですぐに改善する能力に欠けた体質があるように思えてなりません。  今回の石原式色覚検査でも同じです。およそ今の日本社会ではほとんどが行っていない方式の色覚検査を即、愛知県警察から改めていただきたい。  警察職員は、警察官である前に愛知県民であります。その愛知県民が医学的根拠にも基づかない差別でもって有能な人材を切り捨てている状況が私には許せないのであります。  そこで、知事にお尋ねいたします。  愛知県警察は、いつにあっても公正公平で、正義であらなければならないのです。警察官は等しく愛知県民であることを決して忘れてはいけません。今、日本の社会において行われている通常の就職試験でもって警察官の採用も実施されるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。  ちなみに、平成十三年に厚生労働省は、労働安全衛生法改正により雇い入れ時色覚検査を廃止、平成十五年には文部科学省で、定期健康診断から色覚検査を削除、平成十六年には国土交通省で、小型船舶操縦免許について眼科的検査を削除して、独自に船舶の標識を確認する色つきランプ識別テストで採用しております。  緊急に人命を救助する救急車を擁する各自治体の消防署、すなわち市民の防火、防災を推進する消防職員採用の試験においてすら石原式色覚検査はほとんど廃止しています。  愛知県内で最大の組織である名古屋市消防局では、平成四年に石原式色覚検査を既に廃止しています。また、県内の市町村の消防職員の採用試験においても、すべてが石原式色覚検査を廃止しています。  各市町村役場の職員採用試験においても、石原式色覚検査が廃止されています。また、医師及び看護師、薬剤師の試験及び工業、化学をも担当する教員試験、色彩を旨とする芸術大学の入学試験ですら廃止しています。さらに、日本じゅうの一般民間企業においても廃止しているのであります。  このように、世間一般のほとんどが石原式色覚検査を行わなくなった中にあって、いまだ警察だけは特別に石原式色覚検査が必要だという姿勢には、これはもはや異常だとしか指摘せざるを得ません。  そこで、知事にお尋ねします。  あなたは、五カ月後には知事の職をおやめになられて、一愛知県民として、さらには基本的人権を守る弁護士というお仕事に再びつかれると思います。人権を守る立場の弁護士として、基本的人権の侵害に抵触するとも思われる究極の遺伝子検査でもある石原式色覚検査をどのように思われますか。率直に御自身の所感をお話しください。答弁を求めます。  また、現在は愛知県知事でありますが、愛知県行政組織である愛知県警察職員採用試験だけが今もってこの石原式色覚検査を行っていることについて、率直な御所見をお話しください。答弁を求めます。  最後に、警察本部長にお尋ねいたします。  愛知県警察は、自治体警察であります。愛知県警としての独自の毅然たる姿勢でもって、愛知県警察官採用試験は、すべての産業界をも含めた状況をかんがみ、来年度から色覚検査について再検討をも含めた協議を始めていただくよう、ここに求めます。  例えば遺伝的な色覚異常を特定するような石原式色覚検査は人権の問題もあるので、基本的な見直し作業を求めます。それにかわる警察業務において必要不可欠であると思われる色彩、色覚検査表をおつくりになるべきだと提案申し上げます。  一つは、逃げていく泥棒の着ている洋服の色がわかるか。二つ、自動車の色の色彩がわかるか。三つは、飲酒運転の呼気の変化のシミュレーション。四つは、麻薬などのテストの色の変化のシミュレーション。五つは、変死体検査の色の変化のシミュレーション等々です。
     実際の警察業務に欠かせないと思われる色覚検査をつくれば、警察官採用試験を受験する者も、警察の業務の認識も高くなり、他からもこの例を示すことによる評価もいただけると信じます。  警察官採用に際して、医療機関に眼科的検査を任せたりせず、現場を知っておられるあなた方で、警察官として本当に必要な色彩識別能力テストを考案してください。  日本を代表する色覚問題に取り組まれている眼科の医師や、愛知県立芸術大学の教授たちも全面的に協力されると言っておられます。これらの声を謙虚に受け入れられ、実現に向けて、愛知県警察本部の警務部、刑事部、鑑識課、科学捜査研究所、交通部等の専門部署の責任ある人とが合同に協議する場をぜひつくっていただきたいと思います。率直な見解を今この議場でもってお示しください。警察本部長の答弁を求めます。  もう一度、あえて強調したいと思います。  石原式色覚検査の方法は遺伝的な色覚を検出する遺伝子検査にはすぐれていますが、一般社会生活上においては人権侵害とも言える要素が大いにあります。職務上、これだけは必要不可欠だと思われる実用的、科学的なものとしてのシミュレーションを確立してください。  警察が人権を大切に守る姿勢がなくて、何が開かれた民主警察と言えるでありましょうか。今のまま警察官採用試験においてだけ色覚検査を続けることは賢明とは思われません。それでも県警本部長は、自分たち警察官だけは他の職業とは違う、特別な仕事だ、医師だろうが、看護師だろうが、薬剤師だろうが、理科、化学の実験をも行う教員だろうが、芸術大学だろうが、連中とは違う、理屈がどうであれ、愛知県警察は、断固、今後も石原式色覚検査を続ける理由があるなら、県警本部長から理解ができるように私にもこの議場を通じてお話しください。答弁を求めます。  既に愛知県警察本部には、警察庁長官官房人事課より、石原式色覚検査表以外の検査方法についても、医療機関において信頼性のある方法として受け入れられるものであれば、警視総監または各都道府県警察本部長の判断により使用することは差し支えないと考えている旨の公式見解を示す文書を私から愛知県警察本部に提出しています。この回答書も踏まえて、きちんとした答弁を求めます。  以上です。(拍手) 38: ◯教育長(今井秀明君) 色覚検査についてお答えいたします。  まず、教員採用選考試験におきましては、色覚検査の結果を参考としておりましたが、色覚検査において異常と判別される者であっても、大半は支障なく業務を行うことが可能であることなどから、平成十三年度実施の教員採用選考試験から色覚検査を削除いたしました。  次に、公立高等学校の入試におきましては、昭和四十七年度までは、調査書の身体記録の項目の一つに色覚検査に当たる色神がありました。また、昭和三十四年度から六十二年度まで、美術科、デザイン科などの特定の学科への出願時の提出書類として、色覚検査証明書が定められておりました。合否の判定につきましては、学力検査の結果や調査書の記載事項等を総合的に判断しており、色覚検査のみの合否判定は不明であります。  以上であります。 39: ◯産業労働部労政担当局長(志治孝利君) 民間企業の採用についてお答えいたします。  色覚検査は、危険な場所を色で表示している職場などにおいて、色覚障害の人を配置するのは業務上支障が生じやすいことから、労働安全衛生法に基づく厚生労働省令であります労働安全衛生規則により、常時使用する労働者を雇い入れるときの健康診断項目の一つとして、昭和四十七年の法制定時から事業者に義務づけられてきました。  しかしながら、色覚検査において異常と判断されても、大半は支障なく業務を行えることが明らかになってきたり、業務上特に支障が生じないにもかかわらず、採用を制限したりする事例も見られたなどの理由から、平成十三年、労働安全衛生規則が一部改正され、雇い入れ時の健康診断の検査項目から色覚検査が除外されました。  この規則の改正後、全国のハローワークで採用選考時の健康診断につきまして、職務内容との関連で必要のない検査を実施することは就職差別につながるおそれがあることから、色覚検査の健康診断を実施する場合は、その必要性を慎重に検討するよう事業者に対し指導してきております。  本県としましても、企業に対し公正な採用選考を行うよう啓発する際、その趣旨の徹底を図っているところでございます。 40: ◯総務部人事担当局長(原田泰君) 教員、警察官を除きます知事部局等の職員の採用試験における色覚検査についてお答えをいたします。  まず、石原式色覚検査が行われてきた背景等につきましては、現在保存している文書からは確認することができません。  この色覚検査につきましては、平成十三年度の試験から廃止をいたしております。廃止した理由でございますが、色覚異常があっても大半は支障がなく業務を行うことが可能であることなどから、平成十三年七月に厚生労働省の労働安全衛生規則が改正をされまして、民間企業が雇用する際の健康診断の項目から色覚検査が廃止をされましたので、こうした改正の動きを見て廃止をしたものでございます。  また、色覚検査の結果を理由に不合格としていた事例につきましては、この検査を廃止してからおよそ十年が経過をしておりますので、現在確認することはできませんでした。  なお、医療に従事する医師、看護師などの採用につきましては、それぞれの職種ごとに必要となる職務の遂行能力が免許の取得で確認をしておりますので、従来から色覚検査は行っておりません。  以上でございます。 41: ◯県民生活部長(大久保裕司君) 石原式色覚検査について、県立の二大学の入学試験の取り扱いについてでございます。  愛知県公立大学法人が運営をする県立大学及び県立芸術大学の二大学に確認しましたところ、県立大学に統合する前の県立看護大学を含め、いずれの大学においても過去に石原式色覚検査を入学試験として行った事実はないとのことでございます。  また、旧文部省が大学入学者選抜実施要綱において定めました出身高校から受験大学に提出される調査書には、平成四年度まで色覚の欄がありましたが、県立の大学においては、色覚に障害があることを理由に入学を制限した事実もないとのことであります。  以上でございます。 42: ◯警察本部長(河邉有二君) 初めに、色覚検査の背景、経過についてお答えいたします。  愛知県警察官採用試験においては、昭和三十年の第一回警察官採用試験から現在まで色覚検査を行っておりますが、これは警察官が職務を遂行するに当たっては、捜査活動、鑑識活動、交通指導取り締まり等、色の識別が必要とされる場面が少なくないことから、職務遂行に支障のない状態であることを判定するために実施しているもので、医療機関等において信頼性のある方法として受け入れられている石原式色覚検査を採用試験における身体検査の方法として指定して実施しているものであります。  本県警察におきましては、他の分野において色覚検査の見直しがなされている状況を踏まえ、平成十九年度の警察官採用試験から色覚に関する基準を、正常であることから職務遂行に支障のない状態であることに見直しをしております。  色覚検査により不合格者として取り扱った例についての御質問でございますが、合否の判定につきましては、教養試験、論文試験、口述試験の結果等を総合的に判断して行っており、色覚検査のみによる不合格者の抽出は困難であります。  次に、石原式色覚検査の結果を警察官採用の基準としている理由についてお答えいたします。  本県警察においては、色覚に関する適性について、石原式色覚検査の結果のみを基準とはしておりません。また、石原式色覚検査を使用している理由につきましては、警察庁が行っているからというものではなく、この検査が医療機関等において信頼性のある方法として受け入れられているものと判断していることによるものであります。  次に、色覚異常のある者を警察官として不適切とする理由は何かとのお尋ねについてお答えいたします。  本県警察においては、石原式色覚検査により異常と判断されたことのみをもって警察官として不適切であるとは判断しておりません。この検査により、医療機関において異常の疑いありと診断された受験者に対しては、さらに色覚異常の程度を判定するために、医療機関等において信頼性の高い方法として受け入れられているパネルD─15テストによる再検査を受検させております。再検査の結果、強度の色覚異常でないことが確認されれば、警察官としての職務の遂行に支障がないものと判断しております。  次に、警察官採用試験の受験者が視覚検査を受ける理由は何かとのお尋ねについてお答えいたします。  初めに申し上げましたとおり、警察官としての職務を遂行するに当たっては、色の識別が必要とされる場面が少なくないことから、職務遂行に支障のない状態であることを判定するために、警察官採用試験において視覚検査を行うことは必要であると考えているところであります。  次に、石原式以外の色覚検査を採用すべきではないかという御提案についてお答えいたします。  さきに答弁したとおり、石原式色覚検査は、色覚異常の疑いの有無を判定するために、医療機関等において信頼性のある方法として受け入れられているものと判断して使用しております。今後とも、警察官採用試験の色覚検査においては、石原式色覚検査を使用していきたいと考えているところであります。  次に、石原式色覚検査国際版を指定していない理由についてお答えいたします。  本県警察官採用試験においては、石原式色覚検査を義務づけておりますが、国際版三十八表の使用は指定しておりません。石原式色覚検査国際版三十八表は、石原式検査表の中では最も精度が高いところでありますが、医師が石原式検査表を使用して実施した検査であれば、いずれの検査表によっても適切な診断が可能であると判断しているところであります。  次に、警察官として必要な色覚検査を新たに考案すべきという御提案についてお答えいたします。  警察官は、時間帯、場所、天候等問わず、逃走する被疑者の服装や車両の色を識別したり、犯罪現場に遺留されている微物を発見、採取するなど、さまざまな条件下でさまざまな色を瞬時に識別しなければならず、今後、警察官が捜査その他の警察活動に従事する際に、色を識別しなければならない機会としてどのようなものがあるのかなどについて、網羅的に明らかにすることは事実上不可能であります。  したがいまして、警察官の職務遂行に当たり、必要とされる色をあらかじめ特定し、警察独自の検査方法を策定することは現実的ではないと考えており、現在のところ、新たな色覚検査方法の検討は考えておりません。  最後に、石原式色覚検査の廃止について、廃止すべきではないかとの御提案について、警察庁人事課の回答文書を踏まえながらお答えをいたします。  さきに答弁したとおり、警察官採用試験における色覚検査は、警察官として職務を遂行するに当たっては、瞬時に色の識別が必要とされる場面が少なくないことから、職務遂行に支障のない状態であることを判定するために行っているものであります。  石原式色覚検査は、色覚異常の疑いの有無を判定するために、医療機関等において信頼性のある方法として受け入れられているものであり、色覚に関して職務遂行に支障があるか否かを判定する方法として適当なものと判断しているものであります。現在のところ、廃止を含め検査方法等を変更することを考えておりません。  なお、将来、医療機関等において、石原式色覚検査よりも信頼性のある方法として認められ、かつ一般的な検査方法として定着するようなものが出てきたときには、その方法を使用することも検討してまいりたいと考えております。  以上であります。 43: ◯知事神田真秋君) お答えを申し上げます。  私の任期はもう五カ月足らずになりましたが、まだその後の仕事は全く白紙でありますので、よろしくお願いいたします。  この石原式色覚検査でございますが、色覚異常の疑いの有無を判定するために、医療機関などにおいて広く使用されているということは承知をいたしております。  そこで、警察官の採用試験についてでございますが、この検査は、まず、色覚異常の疑いの有無を判定するために使われておりまして、異常の疑いありと判定された場合には、色覚異常の程度を判定する検査を追加して実施されているということであります。  私といたしましては、警察官の職務の特殊性にかんがみ、その遂行に支障のないことを判定するために、警察本部長の判断において、こうした検査を実施しているものと理解をしているところでございます。  以上です。 44: ◯百一番(筒井タカヤ君) 再質問をさせていただきます。  今、それぞれの答弁をいただきました。警察本部長は、まだまだ石原式色覚検査を続けるというふうにお話をされました。  すべての回答は、愛知県下の九九・九九%までが就職試験において石原式色覚検査表をやめた、廃止したのであります。たった一つだけ、愛知県警察の警察官職員採用試験だけがやっている、この事実だけは私は認識しなければいけないし、どうしてなんだろうかということをもう一度考えなきゃいかん。それは、各医学会においても、そしてまた、雇用関係においても、問題があるから全部変わったんじゃないですか。そこのところだけをもう少し認識していただいて、その認識度の答えを求めます。  それから、どう見ても、お医者さんや科学者や、それから、デザイナーや何もかも、一切もうおやめになってしまったこの試験を、警察官だけが特殊任務だとおっしゃる。何が特殊任務なんですか。  私はあえて言いました、五つの提案を。警察官としての最低の識別色彩テストなるものをおつくりになればいいでしょう。そして、それが医学会においても、そして、色彩の専門の方々についてもよく協議をして、そして認められれば、警察庁のほうも、県警本部長の判断でもってそれを実施してもいいですよという見解までお渡ししました。だったら、それをすぐにやれとは言っておらないんです。それを前向きにすぐ検討するような状況に入ってもらいたい、こういったことを提案したわけであります。  その提案についてはどうなんですか。それをお答えいただききたいと思います。  それから、ここにポスターを持ってきました。これです。     〔ポスターを示す〕  大きな文字で色覚検査廃止と書かれております。雇い入れ時健康診断項目の改正について。この中のひとみは、吉永小百合さんのそのものの目が拡大して写っております。この優しいひとみの写真の中には、人は人として平等な基本的人権が守られた労働の雇用をしましょうという願いを込めてつくられているんです。  これは、厚生労働省都道府県労働局労働基準監督署のポスターですよこれは。そういったものもどういうふうに、これは全国に配られたわけ、愛知県にもあるんです。これをどのようなふうに見られるか、あなたの誠実な一人の人間としての信念に基づいた良心でもって、このポスターについてのいわれを話してください。  あえて、再度申し上げます。  これを機に、愛知県で真剣に基本的人権に抵触しない色彩識別検査を共同でつくりましょうという眼科の専門医、色彩の専門家でもある県の芸大の教授も協力しますと言っておりますが、この呼びかけにこたえるのですか、こたえないのですか。一度真剣に取り組んでいただけるのかどうか、再度、県警本部長にお尋ねし、所感を求めます。  まさに時代は流れ、愛知県内で石原式色覚検査を義務づけて採用試験をしているのは、警察以外どこも行っておらず、すべての職域では廃止している現状を念頭に置いて答弁してください。  以上です。 45: ◯警察本部長(河邉有二君) まず、石原式色覚検査の実施についてお答えいたします。  さきに答弁したとおり、警察官は、医師、救急救命士、薬剤師、化学者、消防士等の職業とは異なり、時間帯、場所、天候等を問わず、逃走する被疑者の服装や車両の色を識別したり、犯罪現場に遺留されている微物を発見、採取するなど、さまざまな条件下でさまざまな色を瞬時に識別することが必要とされる場面が少なくないことから、色覚検査を実施しているものであります。引き続き実施してまいりたいと考えているところでございます。  御指摘のポスターについて所感を申し上げます。  議員御指摘のポスターの内容は、平成十三年七月に厚生労働省が労働安全衛生規則の一部を改正する省令により、雇い入れ時の健康診断の健診項目としての色覚検査の義務づけを廃止するというものであると承知しております。  本件改正は、業務内容を問わず、一律に色覚検査を義務づけることを廃止したものであって、職務遂行上必要な場合は、適切な方法により色覚検査を実施することを禁止したものではないと承知しております。  これを機会に部外の方々の提案もあり、共同で色彩識別検査をつくるなどの御提案があったところでございますけれども、この御提案について所感を申し上げたいと思います。  本県警察が警察官採用試験において実施している色覚検査は、基本的人権を侵害するような内容のものではないと考えております。さきに答弁したとおり、今後、警察官が捜査その他の警察活動に従事する際に色を識別しなければならない機会としてどのようなものがあるかなどについて、網羅的に明らかにすることは事実上不可能であります。  したがいまして、警察官の職務遂行に当たり、必要とされる色をあらかじめ特定し、警察独自の検査方法を策定することは現実的ではなく、現在のところ、部外の方との協議等を実施する考えはございません。  以上でございます。 46: ◯議長日高昇君) この際、お諮りいたします。会議中時間経過のおそれがありますので、時間を延長することに決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 47: ◯議長日高昇君) 御異議なしと認めます。よって、時間は延長することに決定いたしました。  進行いたします。  高木ひろし議員。     〔五十番高木ひろし君登壇〕(拍手) 48: ◯五十番(高木ひろし君) ラストバッターでございます。通告いたしました二つの項目、すなわち医療政策についてと、それから、水資源対策についてと大きく二点伺ってまいりたいと思います。  まず最初、寝たきり高齢者専用アパートというものについて伺いたいと思います。  世界に例を見ないスピードで超高齢化が進行するこの日本にありまして、介護保険制度がスタートして十年がたちました。悪名高い後期高齢者医療制度が昨年の総選挙によって否定され、これにかわる制度設計の検討も始まっております。  人間らしい老後を社会全体で支え合う仕組みはどうあるべきか、その議論と国民的合意形成を進めていかなければならないときに来ています。  最初に取り上げる寝たきり高齢者専用アパート、こう呼ばれる施設が本県を中心に東海地方一円に相次いで展開されているという実態。これは、ことしの五月に、地元新聞の連載記事と、そして、民放テレビの深夜のドキュメンタリー番組で取り上げられ、各方面に大きな波紋を投げかけたところであります。  そこに映し出された光景は、寝たきりの状態で動くことができず、かつ鼻や胃からのチューブによる栄養を体内に送り込む、いわゆる経管栄養という状態の高齢者の方ばかりが住む、病院でもない、老人ホームでもないという異様なアパートであります。  その多くは重度の認知症等で意識レベルも低く、要介護度はほとんど五。担当医によりますと、ほぼ終末期にある人が多いので、口から物を食べるなどの訓練は、リハビリはほとんどしていないという状態だそうであります。いわば、ただ死を待っているというような状態のアパートです。  このアパートの特徴は、グループの診療所や訪問介護事業者、こうしたグループ企業による訪問診療や訪問介護、訪問診療という医療保険と介護保険の居宅型サービスをフルに活用することによりまして、本人の月額負担が十五万円程度で済むという仕組みがあります。  病院からは退院を迫られる。しかし、自宅での介護は難しい。特養や老健を当たるけれども、なかなか重度の医療ケアができないことを理由に受け入れてもらえない。民間の有料老人ホームがたくさんできておりますけれども、それは皆、自己負担が月三十万、四十万にもなり、高額でとても払えない。こうした胃ろう・寝たきり高齢者を抱える家族が困り果てた末にたどり着くのが、こうした寝たきり高齢者専用アパートであります。これを紹介しているのは、ほとんどが病院のソーシャルワーカーだという話も聞きました。  特に問題となったのは、在宅の患者の容体が急変する可能性がある場合にのみ出されるはずの、医師による特別訪問看護指示書というものが一律に発行され、これに基づく保険請求で月額二十四万円分の自己負担が圧縮されていた点であります。  この医療保険の不正請求の疑いにつきましては、処分権限を持つ東海北陸厚生局が県とともに調査中ということではありますが、発覚以来五カ月、いまだに結論は出ておりません。  高齢者福祉施設や介護事業者を監督すべき立場の県は一体何をしていたのでありましょうか。  施設運営者は、アパートへの入居契約、賃貸住宅という形をとっていることで、あくまで医療や介護は外部サービスとして入居者個人が契約したものである。施設としては県への届け出義務はないと、こう主張しているようであります。  入居者を胃ろう・寝たきり高齢者ばかりとすることによりまして、アパートの設備は極めて簡単な投資を最小限に抑えるものとすることができ、逆に医療や介護の居宅サービスは一カ所に集められていることによりまして、グループ企業による極めて効率的に供給ができるという、いわばこのビジネスモデルが行政の監督を逃れて繁盛しているとすれば、それはゆゆしき問題ではないでしょうか。  こうした寝たきり高齢者専用アパートが登場した背景には、現代日本の高齢者医療、福祉の抱えるさまざまな問題が存在していることは明らかです。これまでの政府が医療費適正化のかけ声のもとに、高齢者を病院から追い出し、療養型ベッドの数を急激に減らそうとしてきた結果、医療・介護難民と呼ばれるような方々が大量に発生しております。その受け皿になっているのがこのアパートなのであります。  また、四十二万人に上ると言われる特別養護老人ホームの待機者、全国。このうち、最も介護や医療が必要な方々がやむにやまれず選んだついの住みかであるという側面もあります。
     そこには、私たち一人一人がどこでどういう終末期医療を選ぶのか、親や身内をどうみとることができるのかという極めて重たいテーマとも結びついている長寿社会日本の深刻な問題であります。  こうした社会的側面も含めて県に見解をお伺いしておきます。  その一は、まず、こうした寝たきり高齢者専用アパートの実態について、県はどのように把握し、対処しているのかということについてお答えください。  二つ目には、高齢者福祉の先進国と言われるデンマークでは、そもそも胃ろうとか寝たきりというような状態の高齢者はほとんどいないということを聞きます。この日本にあってこうした状態になっている、させられているといいますか、こうした状態の高齢者に対して、介護、福祉、医療、それぞれの面からどのような支援が必要と考えるのか、県のお考えをお聞かせください。  この医療について、二つ目です。新たな高齢者医療制度の検討について伺います。  一昨年、二〇〇八年の四月から後期高齢者医療制度が始まりました。七十五歳という年齢で全高齢者を切り分けたこと、そして、低所得者の保険料負担が見込みよりも大きなものであったこと、また、年金から一律に保険料を天引きしたなどによりまして、当事者である高齢者からは激しい怒りにも似た批判が浴びせられました。  そうした声を受けて発足した民主党の新政権は、後期高齢者医療制度にかわる新たな高齢者医療制度を二〇一三年からスタートさせることとし、そのあり方をめぐって高齢者医療制度改革会議で検討を進めてきております。  八月下旬に発表されました中間取りまとめを見ますと、まだまだ議論すべき多くの課題が残っているようであります。  最大の論点は、高齢者医療費に対して公的負担をどう分担するのかという財政課題と、運営主体をどこが責任を持って担うべきかという問題であると思われます。  それは、すなわち高齢者は区分経理し、公費と各保険者が支える仕組みは変わらないものの、八割の高齢者が再び入ることになる国民健康保険制度というものが将来にわたって財政的に持ちこたえられるかどうかという問題でもあります。  後期高齢者医療制度では、国民健康保険を運営する市町村が都道府県単位で広域連合を組織して運営してまいりました。このあり方にはいろいろな批判もありました。  新しい制度においては、高齢者医療の財政について、都道府県単位の運営主体と市町村による共同運営方式というものが示されております。これは、つまり、将来的には国民健康保険という地域保険制度を現在の市町村から都道府県単位へと再編、広域化していく以外にはないという方向性が大きく示されたものと私は考えます。  代表質問に対する御答弁で、知事は、この高齢者の医療、そして、保険制度につきまして、将来的には国レベルでの一元化を目指すべきというお考えを示されたようでありますが、この中間取りまとめで示された国の方向とは大きく食い違っているようにも思えます。  知事は、全国知事会の代表として国の検討会議に参加していらっしゃるわけでありますが、新たな高齢者医療制度において、都道府県がどのような役割を果たしていくべきとお考えなのか、将来像を含めてお聞かせをいただきたいと思います。  次に、大きな二点目、水資源対策について伺います。  国土交通省は、ダムに頼らない治水への転換を目指して全国八十四のダム事業を凍結し、その検証作業を進めております。本県が関係する国の事業は、設楽ダム、木曽川水系連絡導水路、新丸山ダムの三事業であり、この七月に、その検証の判断基準となる二十五の手法や、検討の手順が有識者会議によって明らかにされました。  これまでのダム計画が、一たん決まると幾ら批判を浴びてもなかなかとまらないと言われるものであっただけに、コスト、安全度、実現性、環境への影響などのそれぞれの視点から複数の代替案をつくり、本当に客観的で市民が納得できるような事業の比較検討の場ができることを私は強く期待するものであります。  実際に動き出したダムを再検証して、見事な結論に導いた一つの例があります。御紹介いたします。  それは、今回の菅改造内閣で総務大臣に就任されました片山善博氏が、十年前に鳥取県知事として、中止にと決断をいたしました県営の中部ダムというダムの件であります。  就任早々、知事は、この県民世論を二分していた中部ダム計画について、検証に着手いたしました。すなわち、治水や利水の効果について、計画の根拠とされていた需要予測のデータや、工事の予算見積もり、こうした金額を徹底的に洗い直し、再計算をするように県の担当職員に指示したのであります。  そして、その結果は、何と新たな水需要の発生はほとんど見込めないということ、洪水防止については、ダムを建設するよりも河川を改修するほうが、同じ効果でもはるかに安い費用で実現できるということが判明したということであります。  これまでは、県は一貫してダム建設のほうが費用は安いと強調してきたわけでありますが、実際には河川改修費用を過大に見積もった上で、ダムの建設費用を百億円近く少なく説明していた。片山知事は、こうした正しい数値を導き出すについて、職員にこう述べたそうであります。今ならば、間違った説明をこれまでしていたことについては責任を追及しない。しかし、将来、うそが明らかになった場合、責任を問うことになると、こう担当職員に迫り、再計算と需要の見積もりを徹底して白紙からやり直させた結果であります。  片山知事は、これを議会や関係市町村にも示して、ダム中止をして、河川改修に予算を回したほうがよいと説得をして中止に至りました。  しかし、当然二十七年間も水没予定地域であった住民の皆さんは大いに戸惑われたわけであります。これは当然です。知事は、この方々に対する補償として百六十八億円に上る地域振興計画をダム事業とは切り離して提示をして、住民との合意に達したということであります。  さて、設楽ダムについてであります。  六月三十日、名古屋地方裁判所では、設楽ダムに関する住民訴訟の第一審判決がございました。ここでは原告が敗訴いたしまして、知事は、これに対して、ダムの計画の必要性が理解されたなどとコメントを出していらっしゃいますが、私は、これは早計だと言わなければなりません。  判決は、国の事業に対する県の公金支出が違法であるとまでは言えないとしたにすぎず、逆に、判決の中で、県の水需要予測は、実際の需要量がそこに達しない可能性が高いと過大見積を指摘されていることは重大であります。  県は、この裁判の中でも、県民に対しても、設楽ダムが必要であるという根拠に関していろいろ述べておりますけれども、すべてが国土交通省の専門家と称するところの説明や、その数値をそのままオウム返しにしているにすぎません。  洪水防止の効果をはかる基本高水流量というような極めて専門的な説明につきましても、その数値についても、また、豊川について言われる河川改修の代替案、そしてまた、ここに特殊に存在しておる霞堤の利用というようなものについても、まともに計算根拠を確かめたり、代替案をつくってこれを検討するなどの作業は一切やってきていないのであります。  鳥取の中部ダムの例が示しますように、ダムの必要性を裏づけてきた諸データ自体を見直さなければ、本当に客観的で説得力のあるコスト比較などはできるはずがないと思います。また、ダムによって失われる森林や水環境、生態系の損失価値をどのようにコスト化するかという問題もあります。  投入される二千七十億円という事業費。これは、県費、国費を含んだものでありますけれども、県費にしろ、国費にしろ、国民の税金には変わりありません。こうした巨費を投入する事業を始める前に、もう一度立ちどまって再検証や代替案との比較ができるならば、これは納税者としてまことに有意義な機会ではないでしょうか。  長年の計画がやっと着工直前まできたのだから早くやってほしいという声もわからなくはないですが、むしろ、これは、本当の事業見直しのチャンスが本体着工に間に合ったというふうに考えるべきだと私は思います。  県は、これまでダムありきという立場で疑うこともなく一貫してこの国の事業を後押ししてまいりました。しかし、そのダム事業の主体である国自身が今立ちどまって、ほかの方法がないのか再検証してみようというわけですから、県としても、治水、利水上の地域の利益、また、自然環境保全する立場、山村地域の振興などを図るそれぞれの立場から、虚心坦懐に公平な代替案の作成や、県民が本当に納得する比較による再検証となるよう協力すべきではないのかということをお尋ねしておきます。  さらに、水資源に関して、木曽川水系連絡導水路の再検証についても申し上げます。  ここで議論すべき点は、まさに尾張地域の都市用水の需要予測であり、水道事業の経営責任ではないかと考えます。  揖斐川から木曽川へと四十キロもの巨大トンネルを掘るために、県が二百五十六億円も負担して、何十年に一度あるかもしれぬ異常渇水時に備えて、毎秒二・三トンの水利権を確保すると。果たしてその投資価値が本当にあるのかということが愛知県にとって問われている再検討課題であります。しかも、名古屋市長は、この導水路事業からの撤退を表明しておりまして、残る利水者となる愛知県の負担がさらにふえざるを得ないという状況も考慮しないわけにはいきません。  一方、ことしが、長良川河口堰の運用を開始して十五年という節目に当たります。ここに、この十五年の間全く使われていない工業用水が毎秒二・九三トンあるということについて、改めて注目が集まりました。実は、このほかにも木曽川岩屋ダムにも工業用水の毎秒二・五トン分が全くの未利用水として休止したままになって放置されております。  これらについては、収入が入ってこないというだけではありません。建設費の金利つきの償還は滞ることなくさせられておりまして、これを一般会計から利子つきで借り入れて、維持管理費も含めて毎年毎年と負担になってきているわけであります。  そもそも、一九九〇年前半に、県議会の議事録等をひもときますと、河口堰の建設をめぐり、県議会でも大きな議論が起きておりました。その論点の最大のものの一つは、河口堰に設定しようとする愛知県の水利権、これを根拠づける水の需要の予測が大き過ぎるのではないかと。本当に二十一世紀に入って、そんなに水が必要となるのかという点であります。  愛知県は、三重県が要らないとした毎秒二トンもわざわざこれを愛知県分として引き受けて、毎秒八・三九トンもの河口堰による工業用水の水利権を設定していたのであります。  当時、県議会で答弁に立った歴代の企画部長はすべて、中部新空港、第二東名、中央リニアという愛知県が目指す三大事業を推進していくためには、県の産業経済の基盤としてこの水は不可欠なんだということを繰り返し答弁してまいりました。愛知新世紀二〇一〇計画、この需要予測がその根拠とされておりました。  しかし、実際にはどうでしょうか。八〇年代から既に横ばいになっておりました愛知県の水需要は、二十一世紀に入っても全くふえることは結局ありませんでした。これは一体、企業に引き当ててみれば、とんでもない将来の市場に対する見込み違いによる過大な設備投資をしたことになり、経営責任を問われるのは当然ではないでしょうか。  その河口堰に確保した工業用水毎秒八・三九トンにつきましては、これまでの需要予測の大間違いについては全く口をつぐんだまま、二〇〇四年のフルプラン改定の際に、毎秒五・四六トン分を水道用水へと転用してしまいました。それでも残った二・九三トン分、これは全く用途のない未利用水として今日に至っております。  そして、この転用した五・四六トンの水道用水分につきましても、会計上は水道会計から支出をいたしまして償還をしておりますが、これについても導水施設がまだ全くありませんので、やはりこれは利用できない水のまま置かれておるわけであります。  こうした過大な需要予測に基づく過剰投資という積年の問題を横に置いて、現在、揖斐川徳山ダムからの新たな導水によって三百億円近い投資をしようとしている、こういう県の立場を認識すべきであります。  水利権を設定した徳山ダムがもうできてしまったんだから、これは導水路をつくるしかないんだという議論があります。しかし、私はそうは思いません。再検証の結果、やっぱりこれは過大な投資となると、県民利益にならないと、導水事業は中止しようというふうに国が結論を出した場合、徳山ダムの水利権は解消され、県がこれまで徳山ダムの建設費として負担をした分は、当然国から返還されることになるでしょう。渇水時の対策については、国において何らかの代替措置がとられなければならないことも当然であります。  県にお尋ねしておきます。  これまでの水需要をめぐる議論で、特に長良川河口堰に係る水利権の設定の根拠としてきた県の需要予測が過大であったということを、今さらではありますけれども、過去に振り返って認めることが私は必要だと思いますが、いかがでしょうか。  また、そうした過大な需要の想定の結果生じている現在の愛知県が抱える未利用水は一体どれだけあって、それにかかわる建設費や維持管理費の負担は一体幾らになるのか、そして、その利用と償還の見通しはどうなのか、これについてお答えをいただきたいと思います。  以上で私の壇上からの質問は終わります。ありがとうございました。(拍手) 49: ◯健康福祉部長(野村道朗君) 医療政策についてのお尋ねのうち、まず、いわゆる寝たきり高齢者専用アパートの実態の把握と対処についてお答えをいたします。  いわゆる寝たきり高齢者専用アパートにつきましては、その入居形態から賃貸住宅の一つと考えられますため、そのものを対象とした調査は行っておりません。  しかしながら、運営の実態として、高齢者に介護、食事及びその他の日常生活上の必要なサービスを住居と一体的に提供している場合には、老人福祉法第二十九条に規定をいたします有料老人ホームに該当し、県への届け出が必要となりますので、本県では、従来から市町村や民間の介護サービス事業者との連携を密にして、高齢者が数多く入居するアパート等の情報収集に取り組んでいるところでございます。  議員お示しのケースにつきましては、その存在を県でも把握しておりまして、介護サービスの提供につきましては、調査したところ、特段の問題はなかったところでございます。  こうした寝たきり高齢者専用アパートにつきましては、運営の仕方によっては法的な問題が生じる可能性もありますことから、有料老人ホームに関して市町村等からの情報を収集する中で、引き続きその実態の把握に努めますととともに、入所者に対するサービスが適正に提供されますよう、サービス事業者に対して引き続き指導をしてまいります。  次に、胃ろう・寝たきりの高齢者に対する介護、福祉と医療、それぞれの面からの支援についてのお尋ねでございます。  胃ろうで、かつ寝たきりの方々は、介護サービスと医療的ケアの両面からの支援が必要でございますが、医療的ケアが行える介護施設の不足や、在宅においては家族の負担が非常に大きいことから、こうしたアパートに入居せざるを得ない実情があると、このように考えております。  このため、県では、介護施設の計画的な整備を進めますとともに、これまで看護職員の配置上、夜間の医療的ケアに十分にこたえることができなかった特別養護老人ホームでも、介護職員がたんの吸引と経管栄養の医療的ケアが行えるようになりましたので、そのために必要な介護職員の研修実施に努めているところでございます。  なお、医療療養病床につきましては、国全体では削減の計画となっておりますけれども、本県では五百三十床の増床を図り、医療の必要度の高い方への対応を図ることといたしております。  一方で、こうした高齢者が家族とともに住み続けられますよう、在宅支援対策を充実させていくことも必要でございます。  県といたしましては、家族の方々の負担を軽減するため、日中の訪問介護や看護、通所介護のサービスの充実に加えまして、二十四時間体制で訪問看護や往診していただける体制の構築、さらには、国で検討しておりますホームヘルパーによる医療的ケアの促進など、在宅ケア体制の一層の充実に取り組んでまいりたいと、このように考えております。  医療政策についてのお尋ねの最後は、新たな高齢者医療制度における都道府県の役割についてでございます。  高齢化の進展に伴い、医療費の増加が見込まれる中で、議員御指摘のとおり、高齢者の医療費をだれがどのように負担するのかという財源の問題は極めて重要な課題でございます。  高齢者の保険料や自己負担、各保険者からの支援金にも限界がございますことから、将来にわたって安定的な財政運営を確保していくためには、まず、国民皆保険制度を担う国が財政責任をしっかり果たすべきでございます。その上で、都道府県及び市町村が応分の負担をしていくことが役割の一つと、このように考えております。  また、制度の運営主体につきまして、都道府県単位の運営主体と市町村による共同運営方式という案が示されたところでございますが、現在、市町村広域連合は、被保険者の資格管理や保険料の負荷決定など、制度運営を円滑に行ってきており、これまでのノウハウとシステムを生かすという意味からも、市町村広域連合が運営主体として適当であるというのが本県を含む全国知事会の多数意見でございます。  この場合、都道府県としても、市町村広域連合に対する職員の派遣などの人的支援や、効果的な保健指導に関する助言、また、安定的で円滑な保険財政の運営のための新たな基金の設置など、これまで以上に大きな役割を果たしていくことが求められていると考えられております。  私からの答弁は以上でございます。 50: ◯地域振興部長山田周司君) まず、水資源対策についての御質問のうち、まず、設楽ダムについて、公平な代替案の作成や、県民が本当に納得する比較による検証となるよう協力する考えはないかとのお尋ねでございます。  国土交通省は、できるだけダムに頼らない治水への政策転換を進めるという考え方に基づき、今後の治水対策のあり方に関する有識者会議を設置し、ダム検証の進め方を取りまとめ、間もなく地方での個別ダムの検証が始まることとなっております。  今後の治水対策のあり方について、中間取りまとめによれば、検証作業の検討主体は基本的に事業主体がなるものとされ、直轄ダムである設楽ダムでは中部地方整備局となります。  検証作業は、中部地方整備局が関係地方公共団体から検討の場を設け、情報公開やパブリックコメントを実施するなど幅広い意見を踏まえ、治水、利水それぞれの複数の代替案について比較検討がなされるという広範な検証になるものと理解しております。  県としましては、設楽ダムは、これまで学識経験者等の参加のもと、長期にわたる検討を経て事業化されたものであり、東三河地域の渇水や洪水被害の軽減に不可欠なものと考えておりますので、国が設置する検討の場において、その必要性をしっかりと訴えていきたいと思います。  その一方で、ダムにかわる代替案の検討に当たっては、その実現性や地域社会への影響等について、県として公正、客観的な立場から十分検討した上で、県の意見をきちんと述べてまいりたいと考えております。  次に、これまでの木曽川水系の水需要予測について、県の予測が過大であったのではないかとのお尋ねでございます。  水需要予測につきましては、これまで国土交通省が作成する、いわゆる木曽川水系フルプランや、県の地方計画において推計されてきましたけれども、その時点での水利用実態や景気動向等に基づき作成されたものであって、いずれもその時点での適正な予測であったと認識いたしております。そして、策定後の状況変化を踏まえ、目標年次や水需要等が見直されてきたものであります。  現在の水需要予測は、平成十六年に作成された第四次木曽川水系フルプランで定められたものですが、長良川河口堰における工業用水から水道用水への転換、転用のほか、徳山ダムに確保した水を利用するための木曽川水系連絡導水路も現行フルプランに位置づけられております。  この現行フルプランにおきましては、今年度、水の需給計画の達成度について点検が行われており、需要、供給とも大きな支障は生じていない状況と確認されております。  なお、御指摘のありました工業用水の未利用分、長良川河口堰において二・九三トン、それから、岩屋ダムにおいて二・五二トンというものでございますけれども、これは現在のところ、企業進出が図られていないことから、直ちに利用する状況にはございません。  しかし、本県といたしましては、長年かけて確保した貴重な水でありますので、長期的視点に立って、県内産業及び県民生活を支える貴重な水資源として引き続き確保してまいりたいと考えております。  以上でございます。 51: ◯企業庁長(山川利治君) 私からは、未利用水に係る県の建設費、維持管理費負担とその償還の見通しについてお答えをいたします。  まず、現在未利用となっております岩屋ダム関連の工業用水に係る建設費につきましては、水資源機構などへの償還総額は約百四十八億円でありまして、平成二十一年度末までに約百四十五億円を償還し、償還残額は三億円となっておりまして、これは平成四十一年度までに支払うこととなっております。  また、維持管理費でございますが、これは平成二十一年度末までに約二十億円を岩屋ダムなどを管理する水資源機構に支払っているところでございます。これらの償還及び維持管理費の支払いにつきましては、企業会計の自己資金によって行っております。  次に、長良川河口堰の工業用水に係る建設費でございますが、水資源機構などへの償還総額は約二百七十一億円でございまして、平成二十一年度末までに約百九十四億円を償還し、償還残額の約七十七億円でございますが、これは平成三十四年度までに支払うこととなっております。  また、維持管理費でございますけれども、平成二十一年度末までに約十五億円を河口堰を管理する水資源機構に支払っているところでございます。  これらの支払いでございますが、一般会計からの借入金により対応しておりまして、将来事業化されたときに一般会計に返済していくことになっております。  以上でございます。 52: ◯知事神田真秋君) 新しい高齢者医療制度につきましてお答えを申し上げます。  全国知事会を代表いたしまして、国の高齢者医療制度改革会議に参加するなど、私もこの問題についてずっとかかわってまいりました。  都道府県の立場で、今後この新しい制度におきましては、現在以上にさまざまなかかわり、役割が大きくなっていくものと、私もそのような認識でおります。  ただ、それ以前の問題として、増大する高齢者の医療費を一体だれが、どのように負担するかという制度設計の上では最も重要な点が、残念ながら国における議論の中では、将来の医療費の推計さえ示されておりませんで、大変この点については問題だと考えております。  また、国の財政責任、国費をこれからどう投じていくのか。この点につきましても、再三再四求めておりますけれども、ほとんど何の回答もありません。そういう中で中間取りまとめが行われたわけであります。  また、国民皆保険の最後のとりででございます市町村国保のあり方につきましても、構造的な根深いさまざまな問題について、これもほとんど議論がなされておりません。にもかかわらず、全年齢を対象に都道府県単位化をし、運営主体を変更するなど、市町村国保の大改造の方針も打ち出されていることについて、大変な危機感を持っているところでございます。このような議論の進め方で、果たして将来にわたり持続可能な制度になるのか、私は大いに問題視をしているところでございます。  後世に誇り得る制度としていくためには、やはりもっとしっかりと議論を重ね、十分時間をかけて議論を尽くしていく必要があると、そのように思っておるところでございます。  なお、先ほど、私がこの議場でほかの答弁の機会に、今後の医療保険制度については全国レベルの一元化を目指すべきだということについて発言した点について触れられました。これは、全国知事会の長年の考え方、一致した考え方でございまして、このことにつきましては、ことしの全国知事会議でも確認されております。  以上です。 53: ◯五十番(高木ひろし君) それぞれ御答弁いただきました。  知事から、後期高齢者医療制度にかわる新しい高齢者医療制度に関するお立場、それなりによくわかりました。  ただ、私が申し上げたかったのは、これは客観的に見て、知事もおっしゃったように、これは都道府県か、あるいはそれにかわる道州制のような広域の自治体が、この地域医療保険については高齢者を含めて引き受けていかなければ、結局これを国に全国一律の制度としてやれと言っても、これは無理です。  現在の市町村にも抱え切れないということは、恐らく全体の合意に既にもうなっているのではないかと思うんですね。であるならば、それの前提条件となる財政的な負担について、これは早急に共通の数字データを共有する必要はもちろんありますが、やはり財源については、知事会の側からも積極的な提案をもって、これは引き受けていくならいくというような議論の態度が求められるのではないかということを要望しておきたいと思います。
     再質問は、寝たきり高齢者専用アパートの問題であります。  おおむね県としても、私が提起させていただいたこのアパートが持つ問題性といいますか、理解していただけたと思いますが、ただ、これはやはり今までの高齢者医療制度あるいは高齢者福祉制度が想定していない一つのビジネスモデルなんですね。形はアパートだけど、実質は老人専門病院みたいなものであるという使い分けがありまして、しかし、実際には、その居住のレベルは、先ほども話に出ました、高専賃のような居住面積や設備は到底ないわけで、非常に簡便なものでしかないというところに、ただ寝たきりの高齢者が終末期を迎えて並べられているというのが実態なわけですから、そういったものが今までの想定していない一つの高齢者施設、これをどうとらえるのかという点を、従来の制度の運用を、解釈を変更して、やはりこれは対応しないといけないと思うわけでありますね。  ですから、県が監督すべき有料老人ホーム、これは老人福祉法に規定されておる老人ホームの定義がございますが、これを実態に即して幅広くとらえていくと。すなわち、契約が賃貸契約だけであれば、ほかのどういうサービスが関連業者から提供されていようが、それはアパートなんだから老人ホームではないというふうな機械的な仕分けではなく、実態に着目をして、いろんなサービスの提供事業者とが一体として運営しているような場合には、これは有料老人ホームという範疇でとらえて、県が積極的に立入調査なり指導はしていくという姿勢が必要だと思うので、そういう運用をこれからされていくんだということでよろしいかどうか、これは再度確認の答弁をお願いしたいと思います。  それから、ダムの問題でありますが、これは私がかねてから何度も提起させていただいております。私は、ダムにしろ、導水路にしろ、もう完全にこれはやめてしまえということを必ずしも言っているわけじゃないんです。  ただ、これは今まで余りにもこうした客観的で公正な比較や有効性の検討がされてこずに、これまで国が決めた事業だからという形で追随してきたのではないかという疑問が県民の中にもかなり広くあると思うからこそ、こういう機会にしっかりとこれは再検証すべきだというふうに思うわけであります。  そこで、一つの観点として、間もなくCOP10が開かれますけれども、なかなかコスト化、比較側として難しいと言われる環境の価値ですね。例えば設楽ダムで水没するところの五十平方キロに及ぶ森林、それから、水の生態系の変化、あるいは三河湾の水質や生態系の変化、こうしたものを数量的、金額的にとらえるというのは非常に難しいことだと思います。  しかし、このCOP10では、注目すべき一つの提言がなされるようであります。  国連環境計画(UNEP)の研究グループの分析では、生態系と生物多様性の経済学と言われる手法を用いて、熱帯雨林や森林の伐採や水質汚染などによる生態系の変化、そして、これが農産物や漁獲量の減少に結びついたり、観光資源に及ぼすマイナスの影響等を経済学的に損失とした積算をいたしまして、これが過去十年間で毎年二兆ドル以上、そして、今後は毎年四兆五千億ドル以上も損失が続くというような警鐘を鳴らしているわけであります。  こうした形で手法を用いれば、この河口堰についてもかつてそうでした。あるいは、これからつくると言われる設楽ダムについても、ここで失われる環境的な価値というものも考量の中に入れまして、これはつくるのが本当に国民利益、県民利益に合うのかどうかということについて、ぜひ検証作業の中に入れ込んでいただきたい。  これは、環境部長への御要望になるかもしれませんが、以上申し上げまして、私の発言を終わります。 54: ◯健康福祉部長(野村道朗君) 寝たきり高齢者専用アパートについて、再度お尋ねをいただきました。  こうしたアパートにつきましては、これまでも市町村等と連携をして、運営の実態等にまで踏み込んだ情報収集を行っております。  法律上、老人福祉法第二十九条に規定する有料老人ホームに該当しない場合には、届け出の指導を行うことはできませんけれども、そうした場合もサービス提供事業者への指導を通じまして、適切なサービスが提供されるよう努めてまいりたいと考えております。  なお、議員も御指摘のありましたように、こうした従来の概念を超えた事業の形態につきましては、全国的な問題とも今後なり得る可能性がございます。こうした事業形態への指導監督について、国への問題提起もあわせ行ってまいりたいと思います。  以上でございます。 55: ◯議長日高昇君) 以上で質問を終結いたします。        ───────────── 56: ◯三十八番(神戸洋美君) ただいま議題となっております議案は、さらに審査のため、それぞれ所管の常任委員会に付託されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 57: ◯議長日高昇君) 神戸洋美議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 58: ◯議長日高昇君) 御異議なしと認めます。よって、ただいま議題となっております議案は、それぞれ所管の常任委員会に付託することに決定いたしました。  なお、議案付託表は議席に配付いたしました。        ─────────────        ─────────────  一般会計・特別会計決算特別委員会の設置 59: ◯三十七番(大見正君) ただいま議題となっております決算第一号から決算第十三号までは、委員十三名の一般会計・特別会計決算特別委員会を設置し、これに付託されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 60: ◯議長日高昇君) 大見正議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 61: ◯議長日高昇君) 御異議なしと認めます。よって、ただいま議題となっております決算第一号から決算第十三号までは、委員十三名の一般会計・特別会計決算特別委員会を設置して、これに付託することに決定いたしました。        ─────────────  一般会計・特別会計決算特別委員会に付託された決算   決算第一号 平成二十一年度愛知県一般会計歳入歳出決算   決算第二号 平成二十一年度愛知県公債管理特別会計歳入歳出決算   決算第三号 平成二十一年度愛知県証紙特別会計歳入歳出決算   決算第四号 平成二十一年度愛知県母子寡婦福祉資金特別会計歳入歳出決算   決算第五号 平成二十一年度愛知県中小企業近代化資金特別会計歳入歳出決算   決算第六号 平成二十一年度愛知県農業改良資金特別会計歳入歳出決算   決算第七号 平成二十一年度愛知県県有林野特別会計歳入歳出決算   決算第八号 平成二十一年度愛知県林業改善資金特別会計歳入歳出決算   決算第九号 平成二十一年度愛知県沿岸漁業改善資金特別会計歳入歳出決算   決算第十号 平成二十一年度愛知県港湾整備事業特別会計歳入歳出決算   決算第十一号 平成二十一年度愛知県流域下水道事業特別会計歳入歳出決算   決算第十二号 平成二十一年度愛知県県営住宅管理事業特別会計歳入歳出決算   決算第十三号 平成二十一年度愛知県印刷事業特別会計歳入歳出決算        ─────────────  一般会計・特別会計決算特別委員会委員の選任 62: ◯議長日高昇君) これより一般会計・特別会計決算特別委員会委員の選任を行います。  委員の選任については、議席に配付いたしました文書のとおり指名いたしまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 63: ◯議長日高昇君) 御異議なしと認めます。よって、委員は議席に配付いたしました文書のとおり選任することに決定いたしました。        ─────────────  一般会計・特別会計決算特別委員会委員     倉知 俊彦   小出 典聖     小林  功   奥村 悠二     沢田丸四郎   神戸 洋美     坂田 憲治   黒川 節男     渡辺まさし   西川 厚志     谷口 知美   天野まさき     木藤 俊郎        ─────────────  一般会計・特別会計決算特別委員会の正副委員長の選任 64: ◯議長日高昇君) 次に、一般会計・特別会計決算特別委員会の正副委員長の選任を行います。  正副委員長の選任については、議席に配付いたしました文書のとおり指名いたしまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 65: ◯議長日高昇君) 御異議なしと認めます。よって、正副委員長は議席に配付いたしました文書のとおり選任することに決定いたしました。        ─────────────  一般会計・特別会計決算特別委員会の正副委員長     委員長     小出 典聖     副委員長    木藤 俊郎        ─────────────  公営企業会計決算特別委員会の設置 66: ◯三十八番(神戸洋美君) ただいま議題となっております決算第十四号から決算第十八号までは、委員十三名の公営企業会計決算特別委員会を設置し、これに付託されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 67: ◯議長日高昇君) 神戸洋美議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 68: ◯議長日高昇君) 御異議なしと認めます。よって、ただいま議題となっております決算第十四号から決算第十八号までは、委員十三名の公営企業会計決算特別委員会を設置して、これに付託することに決定いたしました。        ─────────────  公営企業会計決算特別委員会に付託された決算   決算第十四号 平成二十一年度愛知県県立病院事業会計決算   決算第十五号 平成二十一年度愛知県水道事業会計決算   決算第十六号 平成二十一年度愛知県工業用水道事業会計決算   決算第十七号 平成二十一年度愛知県内陸用地造成事業会計決算   決算第十八号 平成二十一年度愛知県臨海用地造成事業会計決算        ─────────────  公営企業会計決算特別委員会委員の選任 69: ◯議長日高昇君) これより公営企業会計決算特別委員会委員の選任を行います。  委員の選任については、議席に配付いたしました文書のとおり指名いたしまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 70: ◯議長日高昇君) 御異議なしと認めます。よって、委員は議席に配付いたしました文書のとおり選任することに決定いたしました。        ─────────────  公営企業会計決算特別委員会委員     寺西  学   日高  昇     青山 秋男   鈴木  愿     鈴木 孝昌   中野 治美     鈴木 喜博   原田 信夫     高木ひろし   久野てつお     安藤まさひこ  小山たすく
        小島 丈幸        ─────────────  公営企業会計決算特別委員会の正副委員長の選任 71: ◯議長日高昇君) 次に、公営企業会計決算特別委員会の正副委員長の選任を行います。  正副委員長の選任については、議席に配付いたしました文書のとおり指名いたしまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 72: ◯議長日高昇君) 御異議なしと認めます。よって、正副委員長は議席に配付いたしました文書のとおり選任することに決定いたしました。        ─────────────  公営企業会計決算特別委員会の正副委員長     委員長     原田 信夫     副委員長    鈴木 孝昌      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 73: ◯三十七番(大見正君) 本日はこれをもって散会し、明十月一日から十月十三日までは委員会開会等のため休会とし、十月十四日午前十時より本会議を開会されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 74: ◯議長日高昇君) 大見正議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 75: ◯議長日高昇君) 御異議なしと認めます。  明十月一日から十月十三日までは委員会開会等のため休会とし、十月十四日午前十時より本会議を開きます。  日程は文書をもって配付いたします。  本日はこれをもって散会いたします。     午後五時十七分散会 発言が指定されていません。 Copyright © Aichi Prefecture, All rights reserved. ↑ 本文の先頭へ...